被膜(厚膜)の密着強度評価 ~溶射被膜のせん断試験~

RSM-2606

1.被膜(厚膜)の密着強度評価とは

溶射被膜などの強固に結合したコーティング膜について密着力を定量的に測定できる評価技術をご紹介します。

被膜の密着強度によって試験方法の選定が可能

密着強度評価では、被膜の種類や厚さ、想定される密着力に応じて適切な試験方法を選定します。
一般的に密着力30 MPa程度までの評価には接着剤による引張試験(JIS H 8402)が用いられますが、高密着力被膜では接着剤強度が制約となります。本サイトでご紹介するせん断による試験では、被膜に直接せん断荷重を負荷することで、最大600 MPa程度までの高密着力被膜を評価可能です。
なお、本試験方法は被膜厚さ300 μm以上の試料が対象となります。

・接着剤を介して載荷
・接着剤の強度が課題
・測定領域 ~30MPa程度
・被膜を直接載荷
・被膜の厚さが必要(300μm以上)
・測定領域 ~600MPa程度

活用例

2.試験方法

2.1試験方法概要

下記のフローで試験を行います。

試験方法概要

2.2 試験片寸法

試験片の形状・寸法は下記のとおりです。素材の制約などにより標準寸法の確保が難しい場合でも、対応可能な場合がありますのでお気軽にご相談ください。

試験片寸法:試験片概要
試験片寸法:試験片寸法

2.3せん断条件

せん断クリアランスを150μmにセットし、せん断試験を実施します。

せん断条件:せん断クリアランス
せん断条件:せん断クリアランス

3.溶射被膜密着強度の評価事例

SS400基材上にタングステンカーバイド溶射を施した試験片の密着強度評価

1)荷重-ストローク線図では、被膜が最大荷重到達後に瞬間的に破断する様子が確認されました。
2)15回の試験結果から、密着力は331±22 MPaを示し、高い密着強度と良好な再現性を有することが確認されました。
3)試験後の試験片観察では、被膜が基材からきれいに剥離しており、界面密着強度を適切に評価できていることが分かります。

SS400基材上にタングステンカーバイド溶射を施した試験片の密着強度評価

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