実大試験(Full Size Test)
実大試験(Full Size Test)とは
製品や部品の設計の妥当性を評価するためには、部材単位または実大製品での性能評価が必要となります。このような場合評価対象の形状が一定ではないため、規格試験に用いられる汎用試験機では対応が難しい場合が多く、複雑な形状や大型の試験体が取付け可能な中型~大型装置が必要となります。その一例として、200kN横型試験装置とその装置を用いた実大部品の評価技術;実大試験(Full Size Test)を紹介いたします。
実大試験機の外観
実大試験(Full Size Test)の特徴
●水平載荷機構
- 横型構造を採用しており、水平方向への載荷が可能。
専用の試験体固定用フレームを備えており、一般的な試験機のようにクロスヘッド下に試験体を引き込む必要がないため、大きな試験体も比較的簡便に取付け可能。
●高剛性な載荷機構
- 油圧ジャッキで載荷台車を押出し、台車先端に取り付けた接触子を試験体に押し付ける構造。
台車下部のH形鋼をガイドレールとすることで高い剛性を確保しており、試験体に曲げや座屈による大きな変形が生じても、最後まで水平に押しきることが可能。
※一般的な試験機はシリンダ部のガイドが弱いため、試験体に大きな変形が生じると試験体の変形方向に推移してしまう可能性がある。また、シリンダ曲げやねじりが生じるため故障の原因となり易い。
実大試験(Full Size Test)の適用分野
●自動車分野
- バンパーを対象にした載荷試験(前面衝突模擬)
- Aピラーを対象にした載荷試験(前面衝突模擬)
- Bピラーを対象にした載荷試験(側面衝突模擬)
など
●建築分野
- 柱材や梁材の曲げ試験、圧縮試験
- 継手付き鋼管の曲げ試験
など
装置仕様
最大荷重 | 200kN |
ストローク可動域 | ~500mm |
取付可能な試験体サイズ | 幅 :~1600mm 高さ:~1700mm 奥行:~500mm *試験体の形状により、前後あり |
提出データ | 荷重、ストローク変位のデジタルデータ *ひずみゲージ、変位計の取付けも可能 |
実大試験(Full Size Test)の事例
事例1;Bピラーの静的破壊試験
側面衝突の際のBピラーの変形挙動の把握を目的に実部品による静的破壊試験を実施した。
試験体
実部品の端面に接続用フランジを溶接し、試験体とした。
Bピラー試験体
試験方法
- 1)接続治具を介して試験体を固定用フレームに取付ける。
- 2)油圧ジャッキで載荷台車を押出し、台車先端に取り付けた接触子(試験体にあわせて形状変更可能)を試験体に押し付けることで載荷を行う。
試験結果
事前のCAEで得られた最大変位量(300mm)まで載荷を行い、荷重‐変位データを取得した。試験体には座屈を伴う大変形が生じたが、接触子が上下にずれることなく、完全な水平載荷が実施された。
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