衝突安全Crashworthiness

衝突安全

自動車における衝突安全性とは、人身の保護のことを言います。具体的に言うと「乗車空間の保護」と「損傷の最小化」ということです。それを車体開発に落とし込んで行くと、車両の部材には「壊してはいけない部分」とクラッシュボックスのような「安全上重要な部分を最小限の破損にとどめるための部分」が必要となります。そのために乗車空間であるキャビンスペースの周りには非常に高強度の鋼材を用い、フードやバンパーの下の部分には、やや強度の低い鋼材を用います。特にクラッシュボックスのような部品は、破壊のエネルギーとなる自動車の運動エネルギーを、変形により効率良く吸収するために存在します。

衝突安全

さて、自動車事故を想定すると、車両は「ぶつかる物」であり、その事故形態(ぶつかり方)は様々な形態があります。衝突形態には、車両同士を想定した前面衝突(フルラップ/オフセット)や側面衝突、対物事故を想定したポール衝突等があり、各種衝突安全基準が設けられ、各車両の客観的評価結果は、毎年公開されています。また、この基準は安全意識向上と共に見直され、ますます厳しいものとなっており、更なる安全を求め、開発が進められています。

  • 落錘試験による自動車衝突の模擬
    落錘試験による自動車衝突の模擬
    自動車事故には低速、高速など様々な速度の衝突が想定され、材料特性は、衝突時の速度(変形の歪み速度)の影響を受けます。そのため、基準に定められた速度に加え、様々な歪み速度での、素材、部品、モジュールの評価が必要となります。落錘試験は錘体と呼ばれる重りを試験体の上に落下させ、衝突の破壊形態を模擬する試験です。当社は、錘体の形状や重量、落下の高さを変更したり、試験体の固定治具を設計、固定位置を検討することで、様々な事故(その速度や衝突形態)を再現することが可能です。
    動的試験・落錘試験
  • クラッシュボックスの破壊形態の評価
    クラッシュボックスの破壊形態の評価
    衝突安全性落錘試験によって再現する模擬事故時に、どのように試験体が破壊されていくか精度良く観察することが重要です。クラッシュボックスは事故の際、車両の破壊に使われるエネルギーを吸収しながら、アコーディオン状に折り畳み変形されていきます。当社はDICを用いることによって、その変形形態を、速度に寄らず観察することが可能です。また、ひずみ計を用いずに、局部的な変形を捉えて、試験体のひずみ分布を評価することもできます。
  • 試験後の試験体の評価
    試験後の試験体の評価
    落錘試験を実施した試験体を用いて、その部材のどの部分が相対的に弱く、落錘試験時に観察した破壊モードが起こっているか評価することが重要です。また、破壊の起点を調査し、観察、分析するとで、何が支配的な要因になっているか究明することも可能です。
    破損・不具合調査
  • CAEを併用した評価のご提案
    CAEを併用した評価のご提案
    衝突試験や落錘試験といった実試験は、その準備や試験そのものに非常に多くの時間と費用を必要とし、すべての条件を実体試験により試すことは現実的ではありません。当社は、CAE技術を併用することで、それぞれのメリットを活かした、最適な評価をご提案いたします。
    衝突・成形解析
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