クリープ試験
クリープ試験とは
金属に一定の応力を加えたときに生じる変形は、室温などの比較的低温では加工硬化のため時間が経過してもほとんど変化しません。しかし使用温度が「高温」になるにつれ、変形中の動的な回復が起こりやすくなるため加工硬化が相殺されて、外力による変形が時間の経過とともに増加します。この現象を「クリープ」と呼び、材料が破壊することを「クリープ破壊」と呼びます。クリープ特性を評価するクリープ試験は火力発電設備のボイラ管やタービン翼、化学プラントの圧力容器等、高温で長時間応力を受ける部材では材料選択、設計、余寿命評価において特に重要な材料評価方法です。
クリープ試験の適用分野
●ボイラ
・ボイラチューブ(火炉管、過熱器管 等)
・ボイラ配管(主蒸気配管、再熱蒸気管 等)
●タービン
・動翼・静翼・ローター軸・燃焼器・車室 等
●化学プラント
・加熱炉管・分解炉管・リフォーマーチューブ 等
クリープ試験で得られるデータ
●クリープ破断試験
・破断時間・伸び・絞り
●クリープ試験
・クリープひずみ(クリープカーブ)・最小クリープ速度・破断時間・伸び・絞り
1.単軸クリープ試験/クリープ破断試験
●クリープ破断試験
・一定の温度、荷重負荷による破断時間、伸び、絞りを求める試験
●クリープ試験
・一定の温度、荷重負荷により生じるひずみ量を計測しながら、破断時間、伸び、絞りを求める試験。ひずみ計測によりクリープカーブ、最小クリープ速度の取得が可能。
【試験仕様】
・雰囲気:大気
・温度 :最高1100°C
・荷重 :最小5Kgf~最大3,000Kgf
・試験片形状:丸棒・板状・弧状
2.単軸大型クリープ破断試験
【試験仕様】
・特徴 :実機厚肉配管を模擬した大型の継手試験が可能。
・雰囲気:大気
・温度 :最高800°C
・荷重 :最小750Kgf~最大15,000Kgf
3.内圧クリープ試験
【試験仕様】
・特徴 :実機チューブ、配管の応力状態(多軸応力)を模擬。管形状で試験可能。
・雰囲気:大気(外面)・水蒸気(内面)
・温度 :最高750°C
・最大圧力:150MPa
・試験片形状:管状(外径5~90mm)
4.軸力重畳内圧クリープ試験
【試験仕様】
・特徴 :実機で発生するシステム応力を模擬。内圧+軸方向負荷にて試験可能。
・雰囲気:大気(外面)・水蒸気(内面)
・温度 :最高800°C
・荷重 :15,000Kgf
・最大圧力:50MPa
・試験片形状:管状(外径20~90mm)
5.ミニチュアクリープ試験
【試験仕様】
・特徴 :一般的な大きさの試験片よりも小さな形状で試験可能。
・雰囲気:大気(アルゴンガス)
・温度 :最高750°C
・荷重 :150Kgf
・試験片形状:丸棒(外径2mm, 平行部長さ10mm)
公的規格
- JIS Z 2271:金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法
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