微小引張試験
DIC:Digital Image Correlation
微小引張試験とは
引張特性がその素材の部位によって異なる場合があります。例えば、成形加工品、浸炭層・窒化層、溶接に代表される継手などです。そのような部位によって異なる引張特性を詳細に評価するためには、素材のサイズがよほど大きくない限り、試験片はJIS規格よりも小さなサイズで引張試験を実施する必要があります。「微小引張試験」はそのようなニーズにお応えできる試験です。素材の評価領域は1mm以下のサイズで可能です。また、デジタル画像相関法(DIC:Digital Image Correlation)を活用した手法で、引張試験中のひずみ測定も可能であり、引張特性として応力‐ひずみ線図が取得できます。
微小引張試験機に測定システム(DIC)を搭載した試験状況
微小引張試験の特徴
- 接合部、加工部のような金属組織の異なる部位、または微小部品からJIS規格より寸法が一桁小さい試験片を採取し、各々の引張特性を評価できます。
- ひずみ測定が可能なため、試験機変位から推定することなく、降伏応力(もしくは0.2%耐力)の評価および応力‐ひずみ線図を得ることができます。
微小引張試験の適用分野(用途)
- 接合部の溶接金属、熱影響部、母材ごとの引張特性評価
- 成形品の加工硬化部における強度分布評価
- 浸炭層や窒化層の強度評価
- 通常の試験片が採取不可能な微小部品の引張特性評価
装置仕様
- 荷重:最大2kN
- 変位:最大10mm (試験片形状によります。)
- 引張速度:0.1~100μm/sec
- 試験片:平行部の幅・厚さ0.2mm~1mm
試験片の形状
微小引張試験の事例
事例1;炭素鋼(焼入れ・焼戻し材)の微小引張試験
DICによるひずみ測定のために、試験片平行部にランダムパターンを塗布します。
引張試験を開始し、荷重とひずみを測定します。(図には参考として局部伸び発生時のひずみ分布コンターを示しています。)
JIS規格の引張試験と同様に、応力‐ひずみ線図を得ることができます。
参考技術資料
関連する技術
関連する分類
強度評価
硬さ
破壊靭性
高温強度
成形性
実体試験
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