粒子径・粒度分布測定

各種粉体粒子の大きさは、nmレベルからmmレベルと幅広い範囲にわたっています(図1)。粒子の粒子径と粒度分布は、最も基本的な物性パラメーターです。対象試料の粒径範囲や目的に応じた適切な測定方法を選択することが重要です。(表1)
当社では各種測定方法により幅広い範囲の粒度測定が対応可能です。本ページでは、(1)ふるい分け法、(2)レーザー回折・散乱法、(3)動的光散乱法についてご紹介します。

各種粒子の粒子径範囲と測定方法

1.ふるい分け試験

標準網ふるいを用いて各ふるいを通る試料の百分率、また各ふるいにとどまる試料の質量百分率を求めます。試験方法には、乾式と湿式の2種類があります。
湿式ふるい分け法は、主に微粒子(<100μm目安)や付着凝集性が高い試料に適用されます。

適用分野(サンプル仕様)

ふるい分け試験の事例

乾式ふるい分けによる石炭の粒度試験

石炭は、粒度によって以下の様に分類されます。

微粉炭(3mm以下)、粉炭(3-13mm)、小塊炭(13-25mm)、中塊炭(25-37mm)、塊炭(38-50mm)、切込炭(原炭) 。

一例として、石炭Aの粒度試験結果を表2に示します。
石炭Aは微粉炭(-3mm,42.89%)が多く含まれる石炭であることがわかります。

表2.石炭A 粒度試験結果 単位(%)

区分 石炭A
+50mm 1.50
50-40mm 5.01
40-20mm 17.12
20-10mm 10.02
10-3mm 23.46
-3mm 42.89

2.レーザー回折・散乱法

レーザー回折・散乱法の特徴

レーザー回折・散乱法の原理

粒子にレーザー光を照射させて、粒子のブラウン運動により揺らぐ散乱光を検出し、その変動の相関強度を解析し、ストークス・アインシュタインの式より粒子径を求める。1個の球形粒子に入射した光は、色々な方向に散乱される。粒子の大きさと光の波長の関係で、散乱光は粒子の大きさと共にレイリー散乱、ミー(Mie)散乱、フラウンホーファ回折へと変化します。本装置は、Mie散乱の原理を用いて粒子径を算出します。

  Mie散乱
散乱光 前方散乱+側方散乱+後方散乱
粒径パラメーターα
α=π・χ/λ
         χ:粒子径
         λ:光の波長
2<α≦10
粒度算出の原理 複雑な散乱を生じるが、球状粒子であれば、Mieの散乱理論により計算可能

Mieの散乱理論の大前提
・球形粒子で光を透過しない。
・粒子は既知の波長の平面波によって照射される。
・分散液の屈折率、粒子の複素屈折率が既知。
・粒子表面に電荷又は電流がない。

適用分野(サンプル仕様)

装置仕様

測定原理 Mie散乱理論
測定粒子径範囲 10nm~3mm
*フローセル測定:30nm~3mm
測定方式 フローセル測定、バッチ式セル測定
使用可能分散剤 水系及び有機溶媒 (アルコール類・トルエン・アセトン・ヘキサン・メチルイソブチルケトン等)
光学系/光源 半導体レーザー(650nm)LED(405nm)
検出器 リング状シリコンフォトダイオード、 側方・後方シリコンフォトダイオード 計87チャンネル
試料循環系 分散 超音波プローブ(7段階可変式)
循環 遠心ポンプ15段階可変
最大約10L/min (水の場合) 攪拌機能あり
フローセル Tempaxガラス  

レーザー回折粒子径分布測定装置 堀場製作所製 LA950 外観

レーザー回折・散乱法の事例

レーザー回折・散乱法による各種粒度測定

3.動的光散乱法

水中に浮遊する粒子にレーザー光を照射すると、散乱光は粒子径に依存したブラウン運動により揺らぎます。散乱光は、小さい粒子は速い揺らぎ、大きい粒子はゆっくりとした揺らぎを示します。その散乱光を検出し、その揺らぎを解析することにより粒子径が求められます。

詳細は、ゼータ電位・粒子径測定のコンテンツをご参照ください。

公的規格

【ふるい分け試験】
・JISA1102「骨材のふるい分け試験方法」
・JISK0069「化学製品のふるい分け試験方法」
・JISZ8815「ふるい分け試験方法通則」

【レーザー回折・散乱法】
・JISZ8825「粒子径解析-レーザ回折・散乱法」

参考技術資料

ページトップ お問い合わせ