断熱法<比熱容量>
断熱型比熱容量測定とは
断熱型比熱容量測定とは、断熱制御下に試料を置き、一定熱量を加えた際の昇温時間を計測することで直接的に比熱容量が測定できる測定手法です。昇温速度が小さいため、ほぼ平衡状態での測定となります。
Φ15mm×30mm容積の比較的大きい試料容器ですので、混合物などの不均質な試料でも、サンプリングに影響されにくい測定値が得られます。
断熱型比熱測定装置
装置の模式図
適用分野(サンプル仕様)
- 固体/粉体試料に適用可能
- Φ15mm×30mmの容積に収まるサイズ
断熱法<比熱容量>の原理
質量がW(単位:kg)の試料を断熱制御下に置き内部ヒータに通電させて、一定の熱量q(単位:J/s)を加えます。試料の温度がΔT(単位:K)だけ上昇するまでに経過した時間t(単位:s)を計測します。
この時、試料の比熱Cp(単位:J/(kg・K))は質量W、熱量q、温度差ΔTおよび経過時間tから次のように計算できます。
装置仕様
- 測定装置:アルバック理工(株)製 SH-3000M
- 試料形状:約Φ15mm×30mm(5cc)の容器に入る固体・粉体
- 測定温度範囲:約100~800°C
- 測定雰囲気:減圧不活性ガス(Ar)中
断熱法<比熱容量>の事例
事例1;Niの比熱測定
100°C~800°CのNiの比熱測定結果を図1に示します。
文献値と比較すると概ね±5%の範囲で一致しました。
測定値のエラーバーは±5%の範囲を示しています。
文献値はY. S. Touloukianら編, Specific heat : metallic elements and alloys(Thermophysical Properties of Matter; TPRC Data Series, Vol.4 )より引用
参考技術資料
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