リング試験
リング試験では、ドーナツ形状に加工した電磁鋼板や軟磁性材料試料に励磁用の巻線と検出用の巻線を施すことによって磁気特性を測定する方法で、モータコアの平均的な特性である全周方向の磁気特性が測定できます。
リング磁気測定とは
ドーナツ形状に加工した電磁鋼板や軟磁性材料試料に励磁用の巻線と検出用の巻線を施すことによって磁気特性を測定する方法です。モータコアの形状に近く、モータコアの平均的な特性である全周方向の磁気特性が測定できます。耐熱導線を施すことによって、低温下や高温下での磁気測定も可能です。直流、交流での(20kHzまで)測定が可能です。
またモータステータコアのコアバック部をリング試料に見立てて、リング磁気測定を行うことも可能です。加工影響等を含めた実モータコアでの磁気特性の評価を行うことができます。
リング磁気測定の適用分野
- 電磁鋼板の全周方向の磁気特性の測定(鉄損、磁化特性、透磁率、等)
- 軟磁性材料の全周方向の磁気特性の測定(鉄損、磁化特性、透磁率、等)
リング磁気測定の模式図
磁化力H
磁束密度B
リング磁気測定の原理
ドーナツ状に加工した電磁鋼板等の試料に励磁するための励磁コイル(一次巻線)と磁化を検出するための検出コイル(二次巻線)を施します。励磁コイルに流す電流値から磁化力(磁界強度)を、検出コイルに誘起される電圧から試料の磁化(磁束密度)を測定して、これらの値を積算して鉄損を測定します。交流での鉄損測定時には、磁束密度波形が正弦波になるように波形制御を行います。直流でヒステリシス曲線を測定すれば、初磁化曲線と保磁力Hcや残留磁束密度Brを測定することができます。
サンプル仕様
標準的には供試材を外周Φ45mm、内周Φ33mmのサイズに加工した試料を使いますが、励磁コイル、検出コイルを施すことができれば小径の試料の測定も可能です。
公的規格
・IEC60404-4 “Methods of measurement of d.c. magnetic properties of magnetically soft materials”
参考技術情報
- TSU-2106 カーボンニュートラルに貢献する電磁鋼板とその磁気特性評価
- IEEE trans-MAG, 28, 5 (1992) 2456-2458, “An Improved Method for Determining the DC Magnetization Curve Using a Ring Specimen”
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