ゼータ電位・粒子径測定

ゼータ電位・粒子径測定とは

近年、機能性材料、医療、化学等の各種分野では、微粒子の製品への適用が進んでいます。溶液中の微粒子の安定性の指標(凝集・分散・沈降制御・流動性の指標や表面特性の指標)として、ゼータ電位がよく利用されます。

ゼータ電位とは粒子表面の帯電状態(表面電荷状況)を評価できる指標です。微粒子のゼータ電位や粒子径を測定することで、分散安定性や表面特性評価をすることが可能です。また、フィルムや板状試料への粒子吸着性評価の指標として、非導電性の平板表面のゼータ電位測定も可能です。

ゼータ電位測定システム

ゼータ電位・粒子径測定の適用分野

装置仕様

機種 大塚電子株式会社 ELSZ-2000ZS 平板試料測定システム
*pHタイトレーション(滴定)システム付属
光学系 光散乱レーザー・ドップラー法
測定範囲 ゼータ電位 -200 ~ 200 mV
粒子径 0.6 nm ~ 10 μm

測定項目、解析方法

水系・有機系溶媒中分散微粒子のゼータ電位と粒子径測定
各種微粒子分散系の等電点測定(JIS R 1638)
非導電性平板表面のゼータ電位測定(ガラス、シリコンウェハー、繊維など)

サンプル仕様

ゼータ電位/粒子径測定法の解説

1.ゼータ電位測定(電気泳動散乱法)

帯電した粒子が溶液中に分散している系に外部から電場をかけると、粒子は電極に向かって泳動します(図1)。電気泳動速度は粒子の電荷に比例するので、その泳動速度を測定することにより、ゼータ電位を求めることができます。
電気泳動散乱法は別名レーザードップラー法とも呼ばれ、電気泳動速度を求める方法です。電気泳動している粒子にレーザーを照射すると、粒子からの散乱光はドップラー効果によって光の周波数がシフトします。そのシフト量は帯電粒子の電気泳動速度に比例することから、このシフト量を測定することにより電気泳動速度が求められます。


図1 測定セル内での電気泳動
大塚電子HPより引用

2.粒子径測定(動的光散乱法)

水中に浮遊する粒子にレーザー光を照射すると、散乱光は粒子径に依存したブラウン運動により揺らぎます。散乱光は、小さい粒子は速い揺らぎ、大きい粒子はゆっくりとした揺らぎを示します。その散乱光を検出し、その揺らぎを解析することにより粒子径が求められます。粒子径算出の簡便法として、キュムラント法がよく用いられます。

キュムラント法・・・自己相関関数をもとに強度分布から平均粒径を求める方法

ゼータ電位・粒子径測定の事例

事例1;pHタイトレーション(滴定)によるゼータ電位、粒子径測定

試料:アルミナ粒子
分散媒:0.01mol/L-NaCl水溶液
pH調整:0.1mol/L-HCl、0.1mol/L-NaOH


図2 アルミナ粒子のpHタイトレーション(滴定)測定結果

アルミナ粒子は、pHが酸性からアルカリ性に変わるとゼータ電位がプラスからマイナスに大きく変化し、pH9付近にゼータ電位がゼロを示す等電点を持っていることがわかります。
ゼータ電位の絶対値が大きいpH領域では静電的な反発力により平均粒子径は小さく粒子の分散安定性が良いことがわかります。
一方、等電点付近では平均粒子径が大きく、粒子が凝集していることがわかります。

分散系のpHを等電点から遠ざけ、ゼータ電位の絶対値を高めることで、分散安定性を向上させることが出来ます。

事例2;動的光散乱による粒子径評価

試料:インク(2種)、銀粒子

インク粒子


図3 インクの粒子径評価
平均粒子径;インクジェット用 94nm、スタンプ用320nm

銀粒子


図4 銀粒子の粒子径評価
平均粒子径;105nm

動的光散乱法では、ナノレベルの粒子径評価が可能です。

公的規格

参考技術資料

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