TOFD法によるき裂指示高さの測定
TOFD:Time Flight Diffraction Technique
TOFD法によるき裂指示高さ測定とは
構造物の安全性確保のためにはき裂・割れの高さ(深さ)を正確に把握することが重要です。き裂高さは通常の超音波法(パルス反射法)で測定が困難ですが、超音波探傷TOFD法を使用することでき裂の高さを精度良く測定することが可能です。

TOFD法によるき裂指示高さの測定の適用分野
- 応力腐食割れ(SCC)や局部腐食など稼働中設備のきず(内外面開口)や溶接きず(内部きず)の指示高さを測定します。
- 製銑設備、発電設備、圧力容器やパイプラインなどの溶接部および母材部
(オーステナイト系ステンレス鋼溶接部などは除く)
TOFD法によるき裂指示高さの測定の原理
TOFD法では、超音波送信用探触子と受信用探触子とを一定距離を隔てて対向させます。送信用探触子から広い指向角で超音波を入射させると、図1のように表面を伝搬した超音波(ラテラル波)と裏面に当って反射された超音波を受信します。
試験体内部にきずがあると、き裂上下端部での回折波を受信します(開口きずは上端部または下端部のみ)。きず上端からの回折波と下端からの回折波では伝搬距離(時間)が異なるので、伝搬時間の差からき裂の板厚方向の寸法(き裂維持高さ高さおよび位置を測定できます(±1~2mm程度の精度)。
人工きず(裏面開口)を加工した試験体溶接部に沿って平行走査(Dスキャン)をし、受信波の強度連続的に図形表示させた結果を示します。探傷結果は画像表示のためきずの端部エコーが識別しやすいです。

装置仕様
- OLYMPUS社製 OMNISCAN MXII
フェーズドアレイUTとの同時調査可能

公的規格
- JIS Z 3060 付属書I TOFD法によるきずの指示高さの測定方法