超音波自動探傷による微小きずの検出
超音波自動探傷による微小きずの検出とは
鉄鋼材料は橋梁や高層ビルなど建築物を構成する厚板建材から家電,自動車に使われる薄板材まで幅広く適用されており、私たちの生活には欠かせない材料のひとつです。これらの鉄鋼材料における品質要因のひとつである清浄性を評価する技術として、水浸式高周波超音波探傷技術があります。
当社では鋳造材から薄板材まで精密に鋼材の内質欠陥を検知することを目的に、約30年にわたり 開発を継続し、測定精度の向上を目指して参りました。
対象となる欠陥は、微少な内部欠陥(介在物,気泡等)ならびに表面欠陥(100μ程度)について、その大きさ,形状、位置を平面図および断面図として出力するとともに、超音波の反射エコーが有する特徴量(位相,減衰率等)を収集することにより、欠陥の弁別を可能としました。
また、鉄鋼材料に限らず、他金属材料やセラミックス材等、超音波の特性が活かせる材料について適用の展開を進めることで、非破壊による材料の微小欠陥検出の可能性を広げました。
検出原理
水槽中にセットした試験片(平板、パイプ等)に、細く絞った高周波(最大100MHz)の超音波ビームをX、Y軸方向に高速でスキャン(最小5μm)させて、試験片内部及び表面の微小きず(100μm前後)を検出し、測定結果をCスコープ画像として鮮明にカラー映像化します。また、それぞれの欠陥における超音波波形をAスコープ画像として求めることで、欠陥の波形特徴量を特定することが可能となります。
きず検査法
超音波自動探傷装置 (オートスキャン)
装置仕様
超音波を利用した非破壊による微少な内部欠陥や表面欠陥の検出が可能
超音波自動探傷による微小きずの検出の適用分野(用途)
- 鉄鋼製品の微小介在物, 微小クラック検出
- 鋳造材中の酸化物の大きさ別個数分布の測定
- セラミックスの微小欠陥検出
- 電子部品の検査
- 鋳物などの巣の検査
- その他各種金属・非金属材料の微小表面欠陥の検出
超音波自動探傷による微小きず検出の事例
- 鋼材表面に発生する表皮下介在物起因の表面結果について、母材の幅ならびに長さ方向のみならず厚み方向における酸化物の影響を迅速かつ比較的容易に把握することが可能になりました。
探傷条件
サンプル :w200×L200×t5
センサー :50MHz S-40mm
探傷ピッチ:0.10mm
ゲート設定:表面下0.4~1.4mmまで0.1mm(スライススキャン)
参考技術資料
- KSM-2002 高周波超音波探傷装置による鋼の清浄性評価試験~材料欠陥(介在物、空孔、内部割れ等)の評価~
- 鉄と鋼 Vol.91 (2005) No.6
関連する技術
- 塗膜劣化診断
- フェーズドアレイ超音波探傷
- 非破壊検査(NDI)・計測サービス
- 配管詰まり診断 スケールチェッカー
- コンクリート劣化診断
- 鉄筋探査(コンクリート構造物の鉄筋配置の調査)
- TOFD法によるき裂指示高さの測定
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- 高温炉内観察(高温カメラ)
- 鋼管柱(パンザマスト等)検査
- 開口合成UT
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