高圧水素ガス中でのSSRT試験
SSRT;Slow Strain Rate Tensile
高圧水素ガス下SSRT試験とは
高圧水素ガス中での引張試験による伸び、応力、絞り、破断面を、大気中での結果と比較することで、水素ガス中での脆化の有無を迅速に評価できます。試験片をセットできれば、金属だけでなく樹脂の引張試験も可能です。
高圧水素ガス下SSRT試験機
高圧水素ガス中でのSSRT試験の適用分野
- 自動車
- エネルギー
- インフラ
高圧水素ガス中でのSSRT試験の原理
圧力容器内に引張試験片をセットし、容器を密閉した後、水素ボンベから導入した水素ガスを圧縮機を用いて、容器内に高圧充填します。所定の温度、圧力に調整後、引張を開始します。
装置仕様
供給可能ガス | H2、N2 |
圧力範囲 | 大気圧~85MPa |
温度範囲 | -40~300°C |
最大荷重 | 10KN |
*台数:2台(1台:-40°C~, 1台:室温~) |
試験片の形状
- 丸棒, 板状, 弧状など様々な形状に対応
丸棒
板状
高圧水素ガス中でのSSRT試験の事例
事例1;材料強度に及ぼす水素の影響
SUS304ステンレス鋼を、室温の75MPa水素ガス中と大気中にて引張試験を行いました。大気中と比較すると、75MPa水素ガス中での伸び、引張強度が低下しました。引張後の試験片は、大気中では良く絞れて破断し、ディンプルを伴う延性破面を呈しました。75MPa水素ガス中では絞れずに破断し、擬へき開破面を呈しました。その結果、SUS304は、高圧水素ガス中において水素脆化を引き起こす危険性があることが分かります。
引張強度、伸びの低下
破断部の外観とSEM破面
参考技術資料
関連する技術
関連する分類
水腐食
大気環境
ガス腐食
水素環境
アンモニア腐食
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現地調査
微生物腐食