塩分付着サイクル腐食試験
塩分付着サイクル腐食試験とは
塩分付着サイクル試験とは、人工海水を吹きかけ、乾燥・湿潤を繰り返す腐食促進試験です。屋外大気環境を模擬しており、従来の塩水噴霧試験(JIS Z2371)や複合サイクル試験(JIS H8502など)に比べ、実際の環境に近い腐食形態になります。また、規格内で塩分の付着量を選択できるため、模擬したい環境に合わせて塩分付着量を設定可能です。
塩分付着サイクル試験機の外観
塩分付着サイクル試験の適用分野
- 腐食が穏やかな環境における耐食性評価
- 均質なさび鋼板の作製(防錆技術の開発等に活用)
塩分付着サイクル試験の試験方法
塩分を付着させた後、乾燥・湿潤を繰り返すことにより腐食が進行します。この試験が実際の大気環境で曝露した腐食形態に近い理由として、
- (1)塩分付着に人工海水を使用する(一般的な塩水噴霧試験では塩化ナトリウム水溶液を使用)
- (2)温度・湿度条件が露点(絶対湿度)一定であり、昼夜の湿度変化を模擬している
- (3)水洗工程があり、雨による付着塩分が洗い流されることを模擬している
の3点が挙げられます。
腐食試験サイクル条件
塩分付着量
1000mg/m2、100mg/m2、10mg/m2
(それぞれ人工海水原液、10倍希釈液、100倍希釈液を噴霧)
その他任意の付着量に調整することも可能
サンプル仕様
- 標準形状:板状(t1×w70×L70mm)
- 標準形状で1回につき最大66枚試験可能
- その他試験片形状についてはご相談ください。
塩分付着サイクル試験の事例
事例1;鋼板および亜鉛板の腐食形態の比較
鋼板および亜鉛板で、1沖縄での実曝露試験 2塩分付着サイクル試験 3塩水噴霧試験(JIS Z2371)の3試験を実施しました。実曝露試験と塩分付着サイクル試験では緻密で均一なさびが生成したのに対し、塩水噴霧試験では粗く不均一なさびが生成しました。この事から、塩分付着サイクル試験は実曝露に近いと言えます。
公的規格
- ISO 16539 Method B
- JIS G 0594 D法
参考技術資料
- AMM-2101 素地調整(ケレン)技術の開発のための均質な錆つき鋼板の作製
- AMM-2007 塩分付着サイクル腐食試験~実環境模擬 耐食性評価試験~
- TSU-2105 大気環境を模擬した塩分付着サイクル試験
関連する技術
関連する分類
水腐食
大気環境
ガス腐食
水素環境
アンモニア腐食
耐候性
現地調査
微生物腐食