グロー放電質量分析法(GD-MS)
GD-MS:Glow Discharge Mass Spectrometry
グロー放電質量分析(GD-MS)とは
グロー放電質量分析法(GD-MS:Glow Discharge Mass Spectrometry)は、試料を陰極として、アルゴン(Ar)ガス中でグロー放電・スパッタし発生したイオンを高分解能質量分析計(MS)で検出する分析手法です。
固体試料を直接高感度分析でき、試料の溶解作業等を必要とせず、材料を構成するLi ~ U までの全ての元素において、マトリックスからppbオーダーまでの同時多元素定量分析が可能です。(相対感度係数を用いた半定量分析)
グロー放電質量分析装置(GD-MS)
グロー放電質量分析法(GD-MS)の特徴
- 検出感度が高くDR*が広い :0.1ppb ~ 100%
- 同時全元素分析 :水素や希ガスを除くほぼ全ての元素を同時測定可能
- 固体試料の直接定量分析:セラミックスや白金族元素等の難溶解素材にも対応
- 質量分解能が高い :妨害イオンを除外し高精度に分析が可能
- 分析再現性に優れる :安定したイオン源による繰り返し再現性良好
- 深さ方向分析ができる :表面層から母材への元素濃度プロファイルを取得可能
- 同位体分析が可能
*DR:ダイナミックレンジ
グロー放電質量分析法(GD-MS)の適用分野(用途)
金属材料の成分分析 :ステンレス・高合金・非鉄合金 etc.
高純度金属中の不純物分析:スパッタリングターゲット材
セラミックス/半導体材料:Al2O3, SiC, GaAs etc.
二次電池正極活物質 :Li(NiCoMn)O2 ・・・NCM
グロー放電質量分析法(GD-MS)の原理
Ar 雰囲気下においた試料を陰極(Cathode)としてグロー放電を発生させると、プラズマ内で試料表面がスパッタされます。イオン化されたスパッタ原子は二重収束型質量分析計(MS)で測定され、得られた質量数(カウント)と相対感度係数より半定量値を算出します。
装置仕様
機種 | Nu Instruments(AMETEK)astrum ES |
測定元 | Li ~ U |
検出器 | 二重収束型質量分析計 |
定量法 | 相対感度係数法 |
定量範囲 | 0.1ppb ~ 100% |
質量分解能 | m/Δm >4000 |
試料形状/試料サイズ
様々な試料形状・材質の分析が可能です。
グロー放電質量分析法(GD-MS)の事例
事例1;Al合金の77元素同時分析事例( 質量分解能:M / ΔM 4000 )
優れた質量分解能を有する二重収束型質量分析計によって、目的元素と複合分子イオンの分離を行いながら LiからUまでの最大77元素を同時に分析可能です。( 同位体分析:可 )
事例2;SiCの表面からマトリクスへの深さ方向元素濃度分析
スパッタリング現象を利用した分析手法であることから、母材中における不純物濃度を調査できるだけでなく表層からの濃度プロファイルを得る事も可能です。
参考技術資料
関連する技術
- 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)
- 電界放出形オージェ電子分光法 (FE-AES)
- X線光電子分光法(XPS)
- 硬X線光電子分光法 (HAXPES)
- 電子線マイクロアナリシス(EPMA、FE-EPMA)
- グロー放電発光分析(GD-OES)
- 走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)
- 蛍光X線分析(XRF)
関連する分類
表面分析
- 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)
- 電界放出形オージェ電子分光法 (FE-AES)
- X線光電子分光法(XPS)
- 硬X線光電子分光法 (HAXPES)
- 電子線マイクロアナリシス(EPMA、FE-EPMA)
- グロー放電質量分析法(GD-MS)
- グロー放電発光分析(GD-OES)
- 走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)
- 蛍光X線分析(XRF)
形態観察
構造解析
- X線回折法( XRD)を用いた転位密度、結晶子サイズ解析
- ラマン分光法
- X線回折法(XRD)
- X線残留応力測定
- X線トポグラフィ解析(XRT)
- X線吸収微細構造解析 (XAFS)
- 電子線後方散乱回折法(EBSD)
前処理