プラズマFIB-SEMによる三次元観察 (PFIB-SEM)
PFIB-SEM; Plasma Focused Ion Beam Scanning Electron Microscopes
プラズマFIB-SEMによる三次元観察(PFIB-SEM)とは
FIB-SEM装置は試料の微細加工機能(集束イオンビーム:FIB)と観察機能(走査電子顕微鏡:SEM)が一体化された装置で、TEM等の試料作製や試料断面の加工観察に加え、三次元加工観察を行うことができます。プラズマイオン源FIBは、従来のGa-FIBの数十倍の加工能力を有しており、より広い領域の断面観察試料作製・三次元解析が可能です。
プラズマFIB-SEMによる三次元観察(PFIB-SEM)の原理・特徴
当社のプラズマFIB-SEMは、従来のGa-FIBと同様の機能に加え、以下の特長を有します。
- ガリウムフリーなTEM試料を作製可能
- マルチイオンプラズマFIBカラムにより材料特性に応じた加工・解析が可能(Xe,Ar,O)
- 高分解能・大容積の3D SEM-EDSデータを取得できます
- 大気非暴露搬送システムを搭載
Gaイオン源とプラズマイオン源の違い
プラズマFIB-SEMによる三次元観察(PFIB-SEM)の適用分野
【適用事例】
- TEM観察用試料のガリウムフリー作製
- FIB-SEMによる三次元観察
- X線CT等の関心領域の詳細観察・分析
- その他の数十μm~サイズの試料加工
【適用材料】
- 金属、半導体、電池材料、ソフトマテリアル等
- マルチマテリアル界面部の加工・観察
- 試料最表面の異物や異材の観察・分析
(含水性・脱ガス性がなく、真空装置に導入できるもの)
装置仕様
装置 | マルチプラズマイオン源FIB-SEM Helios Hydra FEI社製 |
|
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FIB仕様 | イオン源 | プラズマイオン源 |
イオン種 | Xe、Ar、O、Nから選択 | |
加速電圧 | 500V~30kV | |
SEM仕様 | 検出信号 | 二次電子、反射電子 |
加速電圧 | 350V~30kV | |
その他機能 | エネルギー分散型X線分析(EDS) | |
試料大気非暴露搬送システム | ||
導入可能試料サイズ | 最大φ110mm程度 |
プラズマFIB-SEMによる三次元観察(PFIB-SEM)の事例
事例1;PFIBのGaフリー加工によるTEM試料作製
アルミ材粒界部をFIBにより薄片を作成し、TEMによる面分析・線分析を行った事例を示します。
Ga-FIB加工では粒界部でGa(加工イオン)が濃化している一方、Ar-PFIBでは加工イオンの影響は非常に小さいことが分かります。PFIBによる試料作製は信頼性の高いTEMデータの取得に貢献します。
事例2;プラズマFIBを用いた三次元解析事例
FIB-SEMの三次元解析は、FIBによる試料加工とSEMによる断面観察を繰り返し、その画像をソフトウェアにより三次元再構築する手法です。
試料構造を立体的に観察でき、相構造や空隙、欠陥などを定量的に解析できます。
FIB-SEMによる三次元観察手法
GaFIBとPFIBによるめっき鋼板の3D観察体積の比較
プラズマFIBとGaFIBによるめっき鋼板の三次元観察の事例を示します。
加工力の大きいPFIBではGaFIBの数十~千倍の加工体積を取得でき、従来のGaFIBでは不可能だった広い領域の観察や、統計的に優位なデータの提供が可能です。
参考技術資料
関連する技術
関連する分類
表面分析
- 硬X線光電子分光法 (HAXPES)
- 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)
- 電界放出形オージェ電子分光法 (FE-AES)
- X線光電子分光法(XPS)
- 電子線マイクロアナリシス(EPMA、FE-EPMA)
- グロー放電質量分析法(GD-MS)
- グロー放電発光分析(GD-OES)
- 走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)
- 蛍光X線分析(XRF)
形態観察
構造解析
- X線トポグラフィ解析(XRT)
- X線回折法(XRD)を用いた転位密度、結晶子サイズ解析
- ラマン分光法
- X線回折法(XRD)
- X線残留応力測定
- X線吸収微細構造解析 (XAFS)
- 電子線後方散乱回折法(EBSD)
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