マイクロフォーカスX線CT

マイクロフォーカスX線CTは、材料にX線を色々な角度から照射し、透過像を撮影して、材料中の空隙や異物などの位置や大きさを、非破壊で3次元的に知ることができる分析法です。

マイクロフォーカスX線CT外観と構造

マイクロフォーカスX線CTの特徴

本装置は、非破壊的な測定ができるのが特徴であり、X線が貫通できる試料の厚みは、鉄換算で30mm、アルミ換算で150mmとなります。 その試料中の、大きさ10μmφ以上の“異物”(引け巣、ブローホール、内部欠陥等)の同定が可能です。
材料や機械部品のX線CTの測定目的は多岐にわたりますが、大別して以下の2つがあります。

  1. 1)非破壊で測定対象中の異物(空隙、欠陥)や析出物、介在物などの存在状態の確認
  2. 2)非破壊で測定対象(特に、外観からは見えない部分)の寸法計測

 

マイクロフォーカスX線CTの適用分野(用途)

材料:鉄鋼材料全般、非鉄金属(Cu、Al、Ti、Niなど)、セラミックスなど
形状:ブロック、パイプ、棒線

マイクロフォーカスX線CTの原理

微小焦点(4μmφ)のX線源からコーンビーム状に放出された白色X線を、ゴニオメーターで360度回転する測定試料に照射します。
2次元X線検出器を用い、各角度で撮影された多数のX線透過像を数学的に再構成して、X線CT(断層)像にします。

CT測定のイメージ

装置仕様

装置 ヤマト科学(株)、型式:TDM3000H-FP
X線源 ターゲット タングステン
  加速電圧 30~300kV
X線焦点寸法 4μmφ
空間分解能 最大倍率時 φ10μm
最少倍率時 φ100μm

サンプル仕様

最大寸法;φ300mm×H300mm
最大重量;20kg

マイクロフォーカスX線CTの事例

事例1;Al溶接部内の溶接欠陥の3次元観察

溶接欠陥は、内部欠陥と表面欠陥に大別することができます。内部欠陥は外表面から観察することができず、内部欠陥の種類には、ブローホール、スラグ、融合不良、割れなどがあり、 X線CTを用いたの非破壊検査方法での評価が非常に有効です。
今回の事例では、Alの溶接部に複数のブローホールや融合不良が確認されました。

事例2;鉄筋コンクリート内のクラックの3次元観察

コンクリートは継時変化によりクラックが発生する事があります。この状態を放っておくと、クラックから雨水が侵入し、コンクリートや建材の劣化が進み、構造物自体の耐久力の低下や室内の雨漏りなどにより、構造物に大きな損傷をもたらします。このような事例に対しても、X線CTを用いたの非破壊検査方法での評価が非常に有効です。今回の事例では、鉄筋コンクリートを模写した鋼製ボルトとコンクリートを混ぜ合わせたサンプルに、複数のボイドやクラックが確認されました。

参考技術資料

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