電子線後方散乱回折法(EBSD)

EBDS; Electron Backscatter Diffractionは走査型電子顕微鏡(SEM)に搭載されている検出器の一つであり、電子回折に伴って発生したEBSD(菊池)パターンを取り込み・解析することで様々な組織分析が可能な評価方法です。

電子線後方散乱回折装置(EBSD)

電子後方散乱回折法(EBSD)の特徴

電子後方散乱回折法(EBSD)の原理

SEM筐体内で試料を70°傾斜し、その表面に電子ビームを照射することで、 Braggの法則(λ=2dsinθ)による回折(菊池)パターンが得られます。
菊池パターンは結晶構造や結晶方位によって異なるため、このパターンをHough変換法でバンドを検出して、対象物質の結晶情報とフィッティングすることで、結晶方位を決定します。

電子後方散乱回折法(EBSD)の適用分野(用途)

結晶性材料全般

装置仕様

装置 ショットキー電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)
測定倍率 10~30000倍程度
測定領域 最大20mm×7mm
試料サイズ Φ32mm×15mm以下

電子後方散乱回折法(EBSD)の事例

事例1;2相ステンレス鋼のEBSD/EDS同時測定

EBSDに加えてエネルギー分散型X線分光装置(EDS)も用いて同時に測定を行うことで、結晶構造と元素情報が取得することが可能です。


事例2;パーライト鋼の損傷に伴う組織変化(微小方位差による歪み評価)

EBSD解析の一つである微小方位差マップ(KAM等)を用いることで、定性的に塑性歪の評価を行うことが出来ます。事例はパーライト鋼における損傷前後の結果となっており、損傷後ではKAMマップの値が大きくなっています。


参考技術資料

ページトップ お問い合わせ