表面・界面物性解析装置(SAICAS)
SAICAS;Surface And Interfacial Cutting Analysis System
表面・界面物性解析(SAICAS)とは
SAICASは鋭利な切削刃を用いて材料表層を極低角度で斜めに切削し、得られた切削面を対象に各種表面分析装置を用いて分析するための前処理加工装置です。断面分析では測定できない薄層や界面を引き伸ばして現出させることができます。また、計測モードでは膜のせん断強度や剥離強度を測定することができ、材料表層の強度や、接着性・密着性の評価も可能です。
※SAICASはダイプラ・ウィンテス株式会社の登録商標です表面・界面物性解析装置(SAICAS)の外観
表面・界面物性解析装置(SAICAS)の外観
表面界面切削解析(SAICAS・サイカス)の特徴
- 低損傷で切削できる。
- 着目したい界面や深い層を広く拡大して分析面出し加工ができる(縦横比最大1,000倍)。
- 材料表層のせん断強度解析ができる。
- 基材と膜、層間の密着性を評価できる。
表面界面切削解析(SAICAS・サイカス)の適用分野
- フィルム、塗膜、プリント基板などの多層材料、複合材料、接着材料
- プラスチック、硬質ゴムなどの高分子材料
- 電池の正極材、負極材
- めっき、酸化皮膜、腐食皮膜、金属箔など
表面界面切削解析(SAICAS・サイカス)の原理
切削刃にかかる水平力と垂直力、切削深さをモニターしながら、材料の表層を極低角度、一定の速度で斜めに切削加工し分析面を得ることができます。切削中に切削刃にかかる水平力を計測することによって、みなしせん断強度や剥離強度を算出できます。
装置仕様
- 型式;ダイプラ・ウィンテス製 DN-GS型
- 切削深さ;数µm~約100µm
- 切削幅;0.3mm、1.0mm
- 切削刃種類;ダイヤモンド、ボラゾン
サンプル仕様
- 25mm×25mm~50mm×50mm、厚さ5mm以下(異形状は別途ご相談ください)
表面界面切削解析(SAICAS・サイカス)の事例
事例1;塗装鋼板の界面解析
塗装鋼鈑を斜めに切削加工して得られた面を対象にTOF-SIMSによるマッピング分析を行いました。プライマーやクロメートなどの薄層の分布を明瞭にとらえることができました。
SAICAS加工面のTOF-SIMSによる界面解析結果
事例2;無電解ニッケルりんめっきのみなしせん断強度測定
りん濃度が異なる試料のみなしせん断強度測定を行いました。りん濃度が低い程、みなしせん断強度は大きい傾向が認められました。
みなしせん断強度(τ)
測定結果
無電解NiPめっきのみなしせん断強度解析
リン濃度の違いによるみなしせん断強度(τ) (MPa)
極低P | 低P | 中低P | 中P | 中高P | 高P |
---|---|---|---|---|---|
5.3 | 3.9 | 2.6 | 2.1 | 1.8 | 1.6 |
事例3;塗装鋼板の剥離強度測定
塗膜剥離性に違いが認められた塗装鋼板の剥離強度測定を行いました。正常品と比較して不良品では化成処理膜/塗膜界面の密着性が悪いことが定量的に評価されました。