無機分析
無機分析とは
化学分析の中で無機成分(元素)を測定対象とする分析を無機分析といいます。
試験材料種には、金属や無機物(セラミックス等)、有機物があり、対象試料の状態にはと、液体・固体・気体(ガス)と様々です。分析対象部位としては、母材、めっき層等があります。
無機分析の対象試料と試料の状態
試料の状態 | 試験材料種 | ||
---|---|---|---|
金属 | 無機物 | 有機物 | |
溶液 | 〇(Hg) | 〇 | 〇 |
固体 | 〇 | 〇 | 〇 |
ガス | - | 〇 | 〇 |
無機分析試験材料の対象部位と対象成分
対部部位 | 対象成分 |
---|---|
母材 | 主成分、不純物、介在物・析出物 |
めっき層 | 主成分、不純物 |
湿式化学分析とは
無機化学分析を実施する場合、試料を測定手法に適した状態に前処理(多くは溶液化)をすることが必要です。湿式化学分析とは、試料の溶液化と各種測定方法を組み合わせた分析手法です。
湿式化学分析の特徴
- 試料を全量溶液化することで、試料内偏析があっても均一化できます。
- 分析目的元素の含有率,共存成分の含有率などを考慮しながら,多数の分析方法から最適な方法を選択できます。
- 分析目的元素の分離・濃縮が容易になることにより高感度・高精度分析が実現できます。
無機化学分析の測定手法
無機化学分析には、溶液化工程を有する湿式分析と、溶液化工程がなく迅速分析が可能である機器分析があります。無機化学分析で使われる、各種測定手法を表3に示します。
当社では、各種材料中の主成分から不純物(超微量)まで、『管理された作業環境』で『高度な技術力』と『適切な手法』を組み合わせることで、高精度な化学成分分析が可能です。(図1)
表3.無機化学分析の測定手法
測定手法 | |
湿式分析 | 重量法、容量法(滴定法) |
誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES) | |
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS) | |
原子吸光分析法(AAS) | |
イオンクロマトグラフィー(IC) | |
キャピラリー電気泳動分析法(CE) | |
吸光光度分析法 | |
機器分析 | 水分の分析 |
ガス成分分析 | |
グロー放電質量分析法(GD-MS) | |
グロー放電発光分析装置 (GD-OES) | |
蛍光X線分析装置(XRF) | |
発光分光分析装置(OES) |
成分濃度と分析手法
分析事例
- 鉄鋼材料中のトランプエレメント(不純物)定量
- 銅合金中の銅(主成分)定量
- アルミ合金中けい素定量
- タングステン中の超微量不純物分析
- 亜鉛めっき鋼板のめっき付着量試験
- めっき液中の不純物濃度分析
- プラスチック中の環境負荷物質分析
- ファインセラミックス用アルミナ粉末の成分分析(酸化けい素、強熱減量 等)
- スラグの品質試験(化学成分)
- ガラス中不純物成分定量
- シリカ・アルミナ中の超微量ウラン・トリウム分析
関連する技術
- キャピラリー電気泳動法(CE)
- 原子吸光分析法(AAS)
- イオンクロマトグラフ法(IC)
- 水分の分析
- 重量法、容量法(滴定法)
- ガス成分分析
- 誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)
- 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)
関連する分類
無機分析
- キャピラリー電気泳動法(CE)
- 原子吸光分析法(AAS)
- イオンクロマトグラフ法(IC)
- 水分の分析
- 重量法、容量法(滴定法)
- ガス成分分析
- 誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)
- 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)
- 無機分析
有機分析
- ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)
- 電界脱離質量分析法(FD-MS)
- 顕微フーリエ変換赤外分光光度法(μ-FT-IR)
- 示差熱天秤-質量分析法 (TG-DTA/MS)
- 有機分析
- 電子スピン共鳴法(ESR)
ガス分析
- ブローホールガス分析
- 真空紫外-1光子イオン化-飛行時間型質量分析計(VUV-SPI-TOFMS)
- 物質収支試験
- ガスクロマトグラフ(GC)法(TCD・PDHID)による無機ガス分析
- 昇温脱離ガス質量分析(TDS)
- ガス分析
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