ガスクロマトグラフ(GC)法(TCD・PDHID)による無機ガス分析

ガスクロマトグラフ(GC)法(TCD・PDHID)による無機ガス分析とは

ガスの定性・定量分析は、主にガスクロマトグラフ(GC)法等が用いられています。ガスクロマトグラフ装置(図1)は、多様な検出器が使用されており、ガス成分の濃度範囲によって得意とする検出器があります。
当社が保有しているガスクロマトグラフ装置は、濃度範囲や得意とするガス成分に応じて最適な検出器を使用しており無機ガス分析には、熱伝導度検出器(TCD)やパルス放電検出器(PDHID)を用いて分析します。

各種検出器の適用濃度範囲例

各種検出器の適用濃度範囲例

主なガス成分と検出器

無機ガス(H2,O2,N2,Ar,CO,CO2等):熱伝導度検出器(TCD),パルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)
硫黄化合物:炎光光度検出器(FPD),硫黄化学発光検出器(SCD)
有機化合物:水素炎イオン化検出器(FID) ,質量分析計(MS)


図1 ガスクロマトグラフの概略

ガスクロマトグラフ(GC)法(TCD・PDHID)による無機ガス分析の原理

無機ガス分析は、濃度範囲に応じて熱伝導度検出器(TCD)やパルス放電検出器(PDHID)を用いて分析しています。

熱伝導度検出器(TCD)

TCDでは、対照側セルと試料側セルのそれぞれにフィラメントが組み込まれた合計4つのフィラメントがブリッジ状に配置されており(ホイートストンブリッジ:図2)、どちらのセルにもキャリヤーガスが流れている状態で平衡されています。キャリヤーガスと熱伝導率が異なる無機ガス等の成分が試料側セルに入ると、フィラメント温度と電気抵抗が変化し、応答値として現れます。当社では、キャリヤーガスとしてアルゴンを用いていますので、アルゴンと熱伝導率が異なるガス成分について概ね0.1%以上の感度で分析することが可能です。


装置外観写真 島津製作社製 GC-2014(GC-TCD)

図2 TCDの回路(ホイートストンブリッジ)

パルス放電検出器(PDHID) 

ヘリウムガスをパルス放電し、得られた光量子を試料分子に照射してイオン化させる光イオン化方式の検出器です。当社では、無機ガス、メタンについてはppmレベルの感度で分析することが可能です。


装置外観写真 Agilent社製 7890B(GC-PDHID)

図3 PDHIDの原理図

サンプル仕様

・ガスを充填したバッグ(テドラーバック)・ガスボンベ(要相談)
※無機ガスの微量成分を測定されたい場合は、事前にご相談ください。

ガスクロマトグラフ(GC)法(TCD・PDHID)による無機ガス分析の事例

事例1;熱伝導度検出器(TCD)による測定例


図 混合標準ガスのクロマトグラム(TCD)

事例2;混合標準ガス(各1ppm)分析(検出器:PDHID)


図 混合標準ガスのクロマトグラム(PDHID)

公的規格

参考技術資料

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