キャピラリー電気泳動法(CE)
CE;Capillary Electrophoresis
キャピラリー電気泳動法(CE)とは
キャピラリー電気泳動(CE)法は、溶液中の成分をキャピラリーカラムで分離分析することで陰イオンや有機酸やアミン類、陽イオンなど定性・定量分析を行っています。液体クロマトグラフ(LC)法やイオンクロマトグラフ(IC)法と同様に定性・定量分析が可能で、簡便に分離分析できることが特徴です。測定対象試料は、各種材料製品や化学品、環境媒体など多岐にわたっており、含有量調査や各種原因調査として広く材料・環境分析に対応しています。測定事例をご紹介いたします。
キャピラリー電気泳動法(CE)の適用分野
- 腐食調査 各種材料や油の腐食調査(錆の原因や劣化調査など)
- 環境 廃液や水質調査、悪臭原因物質調査
- 化学 めっき液や塗料、洗浄液中の含有量調査
- 発生ガス調査 各種材料からの発生量調査、燃焼試験
- 食品 醗酵食品、調味料、飲料水などの含有量調査
キャピラリー電気泳動法(CE)の特徴
(1)多成分に対応
分析カラムを交換せずに、1本のキャピラリーカラムで陰イオン・有機酸・アミン類・陽イオンなどに対応可能。
(2)高い分離能
キャピラリーカラムを使用しているため理論段数が高く、使用する緩衝液のpH選択と組み合わせることで、難しい低級有機酸やアミン類の分離を実現。
(3)環境にやさしい分析
使用する試料量が少量(100μL程度)で、有機溶媒をほとんど使用しない。
キャピラリー電気泳動法(CE)の原理
キャピラリー電気泳動(CE)法は、内径75μm程度のフューズドシリカキャピラリー内に緩衝液(buffer)を満たし、キャピラリー両端に電圧を印加することで、電気泳動を行います。成分の分離は、キャピラリー内に発生する電気浸透流(EOF)と、電荷の数や分子の大きさに依存した電気泳動速度により達成され、UV吸収により検出を行います。
装置仕様
- 検出器 : UV-Vis ダイオードアレイ検出器
- 測定波長 : 190 ~ 600 nm
- 泳動電源 : 0 ~ ±30kV、0 ~ 300μA、0 ~ 6 W
(定電圧・定電流・定電力で動作、極性逆転可能可能) - 注入方式 : 加圧法 圧力(-100~+100mbar)、電圧(-30~+30kV)
(イン側アウト側両方可能) - 温度 : 室温以下 10 °C ~ 60 °C
サンプル仕様
媒体 | 試料量 | 検液調製の流れ |
---|---|---|
固体 | 10g | 溶媒抽出 → 検液調製 |
液体 | 10mL | 溶媒希釈 → 検液調製 |
気体 | ご相談 | 溶媒捕集 → 検液調製 |
*上記以外の場合でも対応可能です。(ご相談下さい)
キャピラリー電気泳動法(CE)の事例
事例1;腐食調査分析
低級有機酸や陰イオンは、各種材料の劣化の進行原因物質として、検出されます。
試料は、超音波などによる溶媒抽出後、ろ過したものをCEで測定します。
事例2;洗浄液の分析
アンモニウムイオンや低級アミン類は、各種洗浄液の成分として、含有されています。試料は、適宜希釈を行い、ろ過したものをCEで測定します。
事例3;発生ガス分析
各種材料から発生するガス成分や排ガス中の成分を定性する場合、CE法は有用 な分析手法の一つです。
試料は、発生したガスを捕集ビンによる液体捕集後、ろ過したものをCEで測定します。
公的規格
- JIS K 3813 キャピラリー電気泳動分析通則