SAICASによる金属箔のせん断強度評価

SAICAS;Surface And Interfacial Cutting Analysis System

1.SAICASの特長と硬さ評価への応用 

金属箔のような薄試料の硬さを表面・界面物性解析装置サイカス(SAICAS)を用いて計測した事例をご紹介します。
SAICASは、試料を低角度で斜め切削する際に切削刃にかかる力を計測し、材料表層のみなしせん断強度や剥離強度を算出する装置です。金属箔の硬さ評価が困難であった垂直押し込み試験機に代わる手法として、SAICASを用いた“みなしせん断強度測定”により銅箔の場合は厚さ20μm以上の試料の硬さについて相対評価することが可能です。

2.装置仕様

切削イメージ
切削イメージ
装置外観
装置外観
装置名 ダイプラ・ウィンテス社製 SAICAS DN-GS型
検出荷重 0.1N~20N
切削深さ ~数百μm
切削幅 0.3mm、1.0mm
試料サイズ 25mm×25mm以上、厚さ5mm以下 ※異形状は要相談

3.測定事例;市販銅箔のみなしせん断強度測定

測定試料

厚さの異なる市販品の銅箔;厚さ20μm、30μm、50μm

みなしせん断強度測定結果(30μm厚銅箔)

垂直押し込み試験機による硬さ計測では、下地の影響を避けるため着目深さの約10倍の試料厚さが必要です(10倍則)。それに対して、SAICASでは金属箔の固定を工夫することにより、厚さの約半分の深さまで安定に切削でき、垂直押し込み試験機よりも深い領域にわたる強度評価が可能です。
※本測定は下地の影響を一定とした上での、みなしせん断強度の試料間相対比較になります。

みなしせん断強度測定結果
銅箔厚さ[μm] 20 30 50
測定域 垂直押し込み試験機 10倍則相当深さ[μm] 2 3 5
SAICAS安定 切削深さ[μm] 11 16 22
厚さに対する表層 SAICAS切削域[%] 55 53 44
みなしせん断強度[MPa] 385 374 361

4.PDFダウンロード

SAICASによる金属箔のせん断強度評価に関連する技術

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