大気調査・分析
大気調査・分析とは
事業施設(焼却施設)や自動車などから排出される大気汚染物質には、排出規制や環境基準が定められています。当社では、排出ガス測定、一般大気測定の他、微小粒子状物質(PM2.5)や大気降下物(降下ばいじん)、悪臭調査も承ります。

1.排出ガス測定
ばい煙発生施設からの排ガス分析や焼却炉などの引渡性能試験として排ガス測定は実施されます。
大気汚染防止法では、以下の排出基準を定めています。
- ばいじん量については、施設の種類及び規模ごとに定める許容限度
- 硫黄酸化物については、政令で定める地域の区分ごとに排出口の高さに応じて定める許容限度
(環境省令で定める方法により補正を加えたもの) - 有害物質の量については、有害物質の種類及び施設の種類ごとに定める許容限度
(特定有害物質を除く) - 特定有害物質の量については、特定有害物質の種類ごとに排出口の高さに応じて定める許容限度
対象項目
- ばいじん濃度
- 窒素酸化物(NOx)
- 硫黄酸化物(SOx)
- 塩化水素
- ばいじん中の重金属類
- 水銀
- ダイオキシン類(塩素化、臭素化)
- POPs(残留性有機汚染物質)
- 微小粒子状物質(PM2.5)
- フロン類(フロン-11、フロン-12、フロン-134、フロン-114)等

2.一般大気測定
1)工場など事業場の敷地境界における大気/一定の評価可能な場所等
高流量で大気中の有害物質を捕集する設置用全天候型サンプラーであり、内部にフィルターとウレタンが装着されています。24時間若しくは1週間連続採取を行い、ダイオキシン類や重金属類等の分析を行っています。

対象項目
- ダイオキシン類(塩素化、臭素化)
【有害大気汚染物質】
・揮発性有機化合物類
・アルデヒド類
・重金属類
・水銀
・酸化エチレン
・ベンゾ[a]ピレン 等
【特定悪臭物質:22項目】
・アンモニア
・メチルメルカプタン
・硫化水素
・硫化メチル
・二硫化メチル
・トリメチルアミン
・アセトアルデヒド
・プロピオンアルデヒド
・ノルマルブチルアルデヒド
・イソブチルアルデヒド
・ノルマルバレルアルデヒド
・イソバレルアルデヒド
・イソブタノール
・酢酸エチル
・メチルイソブチルケトン
・トルエン
・スチレン
・キシレン
・プロピオン酸
・ノルマル酪酸
・ノルマル吉草酸
・イソ吉草酸
【悪臭物質関連項目】
・臭気指数・臭気濃度
・臭気強度
(一部:気体排出口、排水にも適用される)
2)一般の測定地点における大気測定
車1台分のスペースで大気・気象測定を行っています。また、大気観測車よりコンパクトな大気測定小屋もあります。
対象項目
【大気質項目】
・二酸化硫黄(SO2)
・窒素酸化物(NO、NO2、NOx)
・浮遊粒子状物質(SPM)
・一酸化炭素(CO)
・酸化性物質(Ox) 等
【気象関係項目】
・気温、湿度、風向、風速
・日射量、放射収支量
・大気安定度(パスキル)

大気質用測定車
当社では測定車の他に、可搬型の測定小屋も所有しております。
3.微小粒子状物質(PM2.5)/降下ばいじん(大気降下物)
稼動している間、常に水が循環しており、降下ばいじんは装置上部の水槽部を経てフィルターとウレタンで捕集されます。約1ヶ月間採取し、ダイオキシン類等の分析を行っています。
対象項目
- 質量濃度
- イオン成分
- 金属類
- 無機元素類
- 炭素成分分析(有機炭素、元素状炭素、全炭素 等)
- ダイオキシン類(塩素化、臭素化)



各物質の環境基準
1.大気汚染に係る環境基準
物質 | 環境上の条件 | 環境上の条件 |
---|---|---|
二酸化硫黄 (SO2) |
1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。 | 溶液導電率法又は紫外線蛍光法 |
一酸化炭素 (CO) |
1時間値の1日平均値が10ppm 以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm 以下であること。 | 非分散型赤外分析計を用いる方法 |
浮遊粒子状物質 (SPM) |
1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。 | 濾過捕集による重量濃度測定方法又はこの方法によって測定された重量濃度と直線的な関係を有する量が得られる光散乱法、圧電天びん法若しくはベータ線吸収法 |
二酸化窒素 (NO2) |
1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。 | ザルツマン試薬を用いる吸光光度法又はオゾンを用いる化学発光法 |
光化学オキシダント (Ox) |
1時間値が0.06ppm以下であること 。 | 中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法若しくは電量法、紫外線吸収法又はエチレンを用いる化学発光法 |
備考
- 環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については、適用しない。
- 浮遊粒子状物質とは大気中に浮遊する粒子状物質であってその粒径が 10μm以下のものをいう。
- 二酸化窒素について、1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内にある地域にあっては、原則としてこのゾーン内において現状程度の水準を維持し、又はこれを大きく上回ることとならないよう努めるものとする。
- 光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。) をいう。
2.有害大気汚染物質(ベンゼン等)に係る環境基準
物質 | 環境上の条件 | 測定方法 |
---|---|---|
ベンゼン | 1年平均値が0.003mg/m3以下であること。 | キャニスター又は捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法 |
トリクロロエチレン | 1年平均値が0.13mg/m3以下であること。 | |
テトラクロロエチレン | 1年平均値が0.2mg/m3以下であること。 | |
ジクロロメタン | 1年平均値が0.15mg/m3以下であること。 |
備考
- 環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については、適用しない。
- ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準は、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質に係るものであることにかんがみ、将来にわたって人の健康に係る被害が未然に防止されるようにすることを旨として、その維持又は早期達成に努めるものとする。
3.ダイオキシン類に係る環境基準
物質 | 環境上の条件 | 測定方法 |
---|---|---|
ダイオキシン類 | 1年平均値が0.6pg-TEQ/m3以下であること。 | ポリウレタンフォームを装着した採取筒をろ紙後段に取り付けたエアサンプラーにより採取した試料を高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法 |
備考
- 環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については、適用しない。
- 基準値は、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性に換算した値とする。
4.微小粒子状物質に係る環境基準
物質 | 環境上の条件 | 測定方法 |
---|---|---|
微小粒子状物質 | 1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。 | 微小粒子状物質による大気の汚染の状況を的確に把握することができると認められる場所において、濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法 |
備考
- 環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については、適用しない。
- 微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。
5.大気汚染に係る指針
光化学オキシダントの生成防止のための大気中炭化水素濃度の指針
光化学オキシダントの日最高1時間値0.06ppmに対応する午前6時から9時までの
非メタン炭化水素の3時間平均値は、0.20ppmCから0.31ppmCの範囲にある。