加熱温度とパーライト分解
加熱によるパーライト分解とは
パーライトはフェライトと、板状のセメンタイトの積層した鋼のミクロ組織です。鋼の塑性加工や切削加工をしやすくするために、熱処理でパーライトを分解させることがあります。しかしながら、パーライトは炭素鋼では球状化しますが、鋳鉄では分解・溶解し、温度・時間によっては消えてしまいます。この現象を実際に熱処理を行い、ミクロ組織の変化を確認しました。
加熱によるパーライト分解の適用分野
- 普通鋼、鋳鉄
- 熱処理を伴う鋼部品製造(熱処理条件、硬さなどの機械的性質)
加熱によるパーライト分解の事例
高炭素鋼S55Cと球状黒鉛鋳鉄FCD500のパーライト分解
ともに市中材の高炭素鋼のS55C、球状黒鉛鋳鉄品のFCD500について、400°C~750°Cまで加熱し、ミクロ組織を確認しました。
S55Cではパーライトのセメンタイトの球状化が観察されました。
またFCD500ではセメンタイトの分解(溶解)していく過程が観察されました。
これらの知見は、熱処理不具合、受熱温度考察のバックデータとして資するものと考えています。