フォーマスタ試験、CCT、TTT図作成

鋼は最高加熱温度、冷却速度、保持時間などにより、機械的性質に影響を与えるミクロ組織が変わります。このミクロ組織の変化を捉えるためにフォーマスタ試験(ラボでの熱処理試験)を行って膨張・収縮を測定します。加えて、試験後の試験片についてミクロ組織、硬さを調べます。最終的に、温度と時間により生成するミクロ組織の図を作成します。

フォーマスタ試験適用分野

フォーマスタ試験を用いた連続冷却変態図作成について

フォーマスタ試験は、通常3mmφ×10mmLの柱状試料片を作製し、熱処理条件を決めて試験します。具体的には、昇温速度、最高加熱温度と保持時間、そして冷却速度です。そして試験片の膨張・収縮を記録します。
この条件を複数設定し、フォーマスタ試験片のミクロ組織、硬さも加味して作成するのが、連続冷却変態(CCT)図、恒温変態(TTT)図です。

CCT図は最高加熱温度から冷却速度を急冷から徐冷まで個々に試験し、冷却速度に伴うミクロ組織や硬さをグラフにするものです。

TTT図はベイナイトやパーライトなど、一定温度で保持する際に変態するミクロ組織を図であらわすものです。

フォーマスタ試験、CCT、TTT図作成の試験方法

試験方法

フォーマスタ試験、CCT、TTT図作成の事例

事例1;CCT図からの求める組織の熱処理条件検討

鋼を求めるミクロ組織(マルテンサイト、ベイナイト、フェライト、パーライト)、硬さに作りこむ場合、CCT図を参考にします。しかしながら、成分の合致したCCT図が無い場合は、熱処理条件の検討のためにCCT図作成が有用です。

例えば、溶接継手の製作で良好な溶接部の機械特性を得るためには、適切な金属組織の制御が重要です。その制御の条件策定するために、CCT図を利用します。CCT図を用いれば、材料の化学成分や、最高到達温度、冷却速度から、継手の溶接金属部や熱影響部の組織が、ある程度推定できます。

CCT線図の例(試料;合金鋼)

合金鋼を930°Cで20分保持したうえで、様々な冷却速度で連続冷却し、冷却後の金属組織と硬さおよび検出した変態点より作成したCCT図を下記に示します。冷却速度が速い場合と遅い場合で、ミクロ組織と硬さが異なることが分かります。

ページトップ お問い合わせ