日本刀の解析
鉄の美術品として名高いものの一つに、日本刀があります。この日本刀を金属学的に解析した例をご紹介します。
日本刀の金属学的調査事例
日本刀の断面の金属マクロ写真と、ミクロ組織写真を示します。マクロ写真の上の方が棟と言われる部分、下の方が刃先です。
日本刀は品質の異なる(主に炭素量)地金を2から3種類重ね合わせて鍛造することが大きな特徴です。
刃先部分は「刃金」と呼ばれる切れ味の鋭く硬い「鋼」、中心部は「心金」と呼ばれる軟らかく粘りのある「鋼」、そして外側部分は「皮金」と呼ばれる前ニ者の中間の性質を持つ「鋼」から構成されています。日本刀に鋭い切れ味と強靭さの二つの機能をバランス良く発揮させるための工夫であり、刀鍛冶が鉄原料の吟味と鍛錬作業での技術水準が問われる重要な要素です。