自動車関連向け絶縁材料の電気特性評価

車載用途で絶縁材料が使用される環境は、まず使用温度が-40°Cから100°C程度の範囲となり、日常生活より厳しい温度条件を想定します。また、絶縁材料は電流・電圧を遮断することが目的で、100A以上の大電流や500V以上の高電圧を想定します。

絶縁特性が必要な箇所とワイヤーハーネス種類・名称

絶縁特性が必要な箇所とワイヤーハーネス種類・名称

電気的試験装置の構成

当社では、このような環境下で絶縁材料が使用される各種試験のニーズに対し、耐電圧測定試験、絶縁破壊測定試験、絶縁抵抗測定試験や、各種環境試験(温度サイクル試験、恒温恒湿試験、プレッシャークッカー試験等)を用意しています。また、ご要望に応じた通電パターンを適用した測定にも対応します。


試験体、環境試験槽、電気的試験装置の構成

絶縁材料(写真中央)の電気特性評価

自動車関連向け絶縁材料の電気特性評価の事例

事例1;温度サイクル+通電サイクル試験

車載用途向けに対応し、お客様のご要望に応じて、温度ならびに通電パターンを設定し、環境試験を行います。 通電は電流制御、電圧制御の方法で行う事が可能です。制御パターンの例を以下に紹介します。

  1. ある一定温度に到達すると通電、降温ならびに低温保持の時は非通電とするパターン(電流制御の例=図A)
  2. 高温時は通電、低温時は非通電とするパターン(電圧制御の例=図B)

試験前/後の試験体の材料特性(導線の電気抵抗、被覆の絶縁抵抗など)を測定することにより、特性劣化の評価が可能です。


図B 試験槽内雰囲気温度と通電パターン

事例2;通電による接続部の温度上昇確認

ワイヤーハーネスは、コネクタとのコンタクト部分との接点抵抗が問題となることがあります。
ケーブル曲げや異常振動による疑似断線や勘合部の摩耗による接点の不具合化が原因で接点抵抗が高くなる(またはゼロとなる)ことがあります。

コネクタ端子部の篏合ワイヤーハーネスの通電温度上昇試験結果


コネクタ端子部の篏合ワイヤーハーネスの通電温度上昇試験結果

上図:計測するワイヤーハーネス全て正常動作をしています。(時間と共に温度が上昇し、一定時間で平衡化しています。)
下図:一部のワイヤーハーネスが通電開始後すぐに異常温度を示しています。(原因として、端子部の接点不良、疑似断線などが挙げられます)

事例3;通電サイクル試験による接続部の温度上昇確認

ワイヤーハーネスの劣化判定の一つとして、通電on/offを繰り返し実施することで接点部の劣化、絶縁材料の劣化を促進させる通電サイクル試験があります。


コネクタ・ワイヤー勘合部の温度測定結果
  1. 040sq型、050sq型とも通電サイクルが増えるにつれ、温度上昇が確認された。
  2. ケーブル径の違いよりも勘合部の精度による接点温度上昇の差異が現れやすい事が分かります。

事例4;振動耐久試験への対応

開発品、試作品については、お客様の要求仕様に基づき、決められたチェックシートを用いて動作確認や評価試験など代行業務を行い、お客様に試験結果をご報告します。その期間、お客様は別の課題に注力出来るため、当社を利用するメリットがあります。

振動試験における試験品と装置との構成


振動試験における試験品と装置との構成

写真上:加振方向(前後=X方向)取り付け様子(※試料を90°C加振台で回転させることで加振=左右(Y方向)となります)
写真下:加振方向(上下=Z方向)取り付け様子(加振機とは垂直で接続されています)

例えば、当社では自動車関連製品での重要な評価項目の一つである振動試験や(温湿度環境・温度サイクル環境や通電制御を合わせた)複合振動試験について、固定治具の製作からトータルで対応いたします。


複合振動試験における試験品(例:モータ)と装置との構成

試験品(X、Y、Z方向取り付け)と製作した治具との構成例

加振パターン(チャート)例
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