LiB用電解液中の水分定量

STM-2303

1.概 要

リチウムイオン電池(LiB)に使用されている電解液は、一般的にプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートとジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネートとの混合溶媒であり、電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)などのリチウム塩が溶解しています。LiPF6は空気中の湿気によって速やかに加水分解し、フッ化水素酸(HF)を生成するため電池製品の劣化が促進されます。そのため、電池の長寿命化の検討や品質管理において、電解液中の水分測定を行うことは重要です。

LiPF6 ⇆ LiF + PF5
PF5 + H2O → 2HF + F3OP↑

水分分析に関する技術紹介はこちらから

2.カールフィッシャー電量滴定の原理と特徴

電流を流し発生したヨウ素が水分と選択的に反応します。発生したヨウ素量を電気量から把握し、水分量を計算します。定量範囲・適用範囲が広く、微量水分測定法としてμg単位の水の測定も可能です。試料導入方法には、1直接滴定法と2水分気化法があります。水分気化装置と組み合わせることで、固体試料の測定も可能です。

3.分析事例;LiB用電解液中の水分定量

簡易グローブボックス(Ar置換雰囲気)内で電解液試料に、水を0,50,100,300,500 mg/Lと段階的に添加し試料調製し、添加回収定量を実施しました。

測定方法:カールフィッシャー電量滴定法(直接滴定法)

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