電池材料のTOF-SIMS分析、AES分析
RSM-2303
1.概要
飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)およびオージェ電子分光分析器(FE-AES)を電池材料分析の専用装置としました。TOF-SIMSは試料導入口に簡易グローブボックスを設置し大気・水分非暴露化、FE-AESへはトランスファーベッセルを用いてドライ環境のまま試料を導入し分析できます。各種電池材料に含まれるLi、微量元素の他に、各構成部材に由来する化合物の分布解析、化学構造解析、化学結合状態解析が可能です。
飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)に関する技術紹介はこちらから
オージェ電子分光法(FE-AES)に関する技術紹介はこちらから
分析工程の一例

2.仕様
FE-AES (アルバック・ファイ PHI 680) |
TOF-SIMS (アルバック・ファイ TRIFTII) |
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照射励起源 | 電子一次イオン | (Ga+) |
検出信号 | オージェ電子 | 二次イオン |
検出深さ | 数nm | 1nm(数原子層) |
検出下限 | 約1at% | 数ppm |
得られる情報 | 元素 | 無機イオン、有機イオン、無機・有機複合イオン |
空間分解能 | 数十nm | 約100nm |
特長 | Li検出、局所分析、化学結合状態解析 | Li、F、P系、有機イオンなどの高感度検出化学構造解析 |
適用 | 正極材、負極材、固体電解質、筐体 | 正極材、負極材、バインダー、セパレータ、固体電解質、筐体 |
大気・水分 非暴露対応 |
トランスファーベッセル (Ar封入) |
簡易型グローブボックス (置換ガス、リークガス;Ar、露点;-25°C以下) |
3.分析事例
事例1;充放電サイクル試験後負極断面のTOF-SIMSマッピング

<結果>
・活物質の隙間にバインダー由来のFが存在。
・集電箔/活物質界面に電解液由来のPO2が存在。
・各種電池構成成分を高感度でマッピング可能。
事例2;全固体電池断面のFE-AESマッピング

<結果>
・Cuの集電体、りん酸バナジウム系の活物質、Tiを含むりん酸系の固体電解質が積層されていると推定される。
・高空間分解能で微小域のマッピングが可能。
サンプリングから装置への導入、測定まで大気・水分非暴露環境下で対応することによって、試料にダメージを与えることなく、本来の状態を維持したまま分析評価することができます。