50Jシャルピー衝撃試験による靱性評価
HRM-2002
1.50Jシャルピー衝撃試験機の仕様と特長
シャルピー衝撃試験では、材料の粘り強さ(靭性)を評価することができます。
ここではプラスチック、薄い鋼材、アルミニウムなど、吸収エネルギーが低い材料に対して用いられる低エネルギー(50J)シャルピー衝撃試験機による靭性評価をご紹介します。
*通常の鉄鋼材料では、300J,500J等の高エネルギー試験機を使用します。
試験機 | シャルピー振り子式衝撃試験機(米倉製作所製) |
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能力 | 50J |
試験温度 | -196°C・-140~200°C |
*低温域から高温域までの試験が可能

・試験温度のコントロール
温度 (°C) | -196 | -140~-100 | -100~RT | RT~100 | 100~200 |
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冷媒種又は熱媒体 | 液体窒素 | イソペンタン | エタノール | 水orシリコーンオイル | シリコーンオイル |
冷却方法又は加熱方式 | 液体窒素で冷却 | ヒーターで加熱 |
*シャルピー衝撃試験では、ハンマーを一定の高さから振り下ろして試験片を破断させ、ハンマーの持上げ角度と打撃した後の振上がり角度から吸収エネルギー(J)を求めます。またこの値を断面積で割って衝撃値(J/cm2)を算出します。これらの数値により材料の粘り強さ(靭性)が評価できます。
2.試料情報
対象材料 | プラスチック、鋼材(薄物)、非鉄金属材(アルミニウム等)の吸収エネルギーが低い材料 |
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試験片寸法 | 長さ 55~80 mm 幅 10 mm 厚さ 2~10 mm |
3.事例;鋼材のシャルピー衝撃試験
吸収エネルギー(J)、衝撃値(J/cm2)、延性破面率(%)より遷移曲線を求めます(図1)。
遷移曲線から破面遷移温度、エネルギー遷移温度を求めることが出来ます。
破面遷移温度 | 破面率50%になる温度 |
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エネルギー遷移温度 | 延性破面率100%となる最低温度における吸収エネルギーの1/2の値に相当する温度 |
表1.試験温度と吸収エネルギー、衝撃値、延性破面率
試験温度 (°C) |
吸収 エネルギー (J) |
衝擊值 (J/cm2) |
延性破面率 (%) |
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25 | 1.0 | 6 | 0 |
40 | 1.3 | 8 | 0 |
60 | 1.4 | 8 | 0 |
80 | 2.6 | 16 | 5 |
100 | 18 | 107 | 55 |
120 | 32 | 192 | 100 |
*試験片寸法:高さ10mm(2Vノッチ) 幅2mm
