電位差滴定法によるLiB用電解液中のHF定量分析

STM-2601

1.電位差滴定法によるLiB用電解液中のHF定量分析とは

リチウムイオン電池(LiB)用電解液に使用されるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6) は空気中の水分によって加水分解し、フッ化水素酸(HF)を生成します。生成したHFは電極を劣化を引き起こし、電池容量の低下につながるため、電解液中のHFを分析・評価することが重要です。
電解液中HFの分析方法としては、イオンクロマトグラフ(IC)法や19F-NMR法等がありますが、本法は電解液を中和滴定する電位差滴定法を用いることで、HFを5 mg/kgレベルの微量域まで迅速に定量できる分析法です。
 

反応式

       LiPF6                 ⇆     LiF + PF5
  PF5 +  H2O → POF3 + 2HF 

  POF3 +  H2O    → POF2(OH) + HF

出典)川村ら、「リチウム電池用LiPF6電解液の分解反応」,九州大学大学院 総合理工学報告24(3)281-288(2002)

2.測定方法 

LiB電解液はグローブボックス(露点-40°C以下)を用いて採取し、電位差滴定装置を用いて水酸化ナトリウム水溶液(NaOH.aq)で中和滴定を行います。
本手法では、空気中の水分の影響を最小限に抑えながら、電解液中のHF量を高精度に定量することがができます。(※1)
 
    定量可能なHF濃度範囲:5 ~1000 mg/kg(※2)
グローブボックス内での試料採取
電位差自動滴定装置

 

3.試料情報

対象試料:LiB電解液(※1)
必要試料量目安:20 mL ※少量試料の場合はご相談下さい

4.測定事例:2種LIB電解液の水添加によるHF発生挙動評価 

2種類のLiB電解液(A,B)に、水分を意図的に添加したものと添加無しのもの2水準を模擬試料とし、HF量を電位差滴定法(中和滴定)にて定量しました。

■測定装置

京都電子製 電位差自動滴定装置 AT-510

■測定結果(表1)
  • ・水分添加量の増加に伴い、HF濃度が増加する傾向を確認しました。
  • ・2種電解液には反応挙動、HF量の生成速度に違いが認められました。

  • 表1 模擬電解液のHF定量結果

電解液

水添加 (mg/L)

HF定量値 (mg/kg)

A

0

50

A

500

80

B

0

60

B

300

600

 

<注>
※1 試料にNaOH.aqと反応する共存成分が存在する場合は、測定結果に影響を及ぼすことがあります。試料組成情報を事前に提供いただくことで、試料特性に応じた適切な測定手法をご提案いたします。
※2 1000 mg/kg以上のHF高含有試料やフッ素系分解生成物の詳細解析については19F-NMR法による評価も可能です。

電解液中の水分管理については、Technical Report No.STM-2303 LiB用電解液中の水分定量をご参照ください。

 

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