ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の熱分解挙動調査(TG‐DTA/MSを用いた酸素存在下での熱分解挙動)

RSM-2203

1.概要

TG-DTA/MSは、熱重量(TG)-示差熱分析(DTA)と同時に、発生ガスの質量分析(MS)が可能です。
本装置を用い、代表的なアクリル樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)について、酸素存在の有無による熱分解挙動の違いを調査した結果をご紹介します。

本評価に用いた示唆熱天秤-質量分析法(TG-DTA/MS)の技術紹介はこちらから

2.分析方法

試料 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)和光純薬製
試料重量 約1.8mg(凍結粉砕品)
温度条件 室温~800°C*試験上限温度は1550°C
雰囲気 1.He 2.20%O2/He(酸化性ガス)
昇温速度 5°C/分(制御可能速度:0.01°C/分~100°C/分)
イオン化法 電子イオン化(EI)法、70eV
MS(日本電子 Q1500GC) TG‐DTA(NETZSCH STA2500
装置の構成

3.測定結果

PMMAの熱分解機構を熱重量、発生ガスの質量分析から総合的に評価しました。その結果、20%酸素雰囲気下では、酸化を伴い、低温から分解を開始する事が判りました。(下図1~3にデータ解析結果を付記)
TG-DTA/MSの複合測定器の活用により、分解機構をより詳細に解析する事が出来ます。
雰囲気ガス種、ガス濃度などの評価条件はご相談ください。

図1:熱重量(TG)分析
図1:熱重量(TG)分析

重量減少を確認。酸素存在下では分解開始温度と分解挙動が低温側にシフト。

図2:50%重量減少温度*1におけるガスマススペクトル
図2:50%重量減少温度*1におけるガスマススペクトル

酸素雰囲気下で、MMAのベースピークの他にCO2、H2O相当質量イオンを確認。*1:TG分析で確認(図1)

図3:検出ガスのマスクロマトグラム
図3:検出ガスのマスクロマトグラム

酸素存在下ではMMAモノマーピークが先行し308°Cで出現し、CO2,H2Oは30°C高い338°C出現。分解反応の詳細な挙動を確認。

表1. PMMAのTG-DTA/MS分析結果

測定雰囲気 He 20%O2/He
分解開始温度 TG-DTA(図1) 325°C 273°C
MS 推定ガス(図2) MMAモノマー MMAモノマー CO2,H2O
分解機構(図3) 熱分解 酸化+熱分解

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