高温加熱ステージを利用した高温硬さ測定~高機能ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)の適用~
NGM-2204
1.概要
ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)に加熱ステージを装着することで、温度依存性を含む材料の機械特性評が可能となりました。本装置では、最高800°Cまで均一に加熱することが可能であり、加熱をしながら通常のナノインデンテーションだけでなく、スクラッチ摩耗、粘弾性の測定が可能です。今回は、市販の高張力鋼の高温硬さ等を測定した結果を報告します。
ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)に関する技術紹介はこちらから
2.事例;ナノインデンターを用いた高張力鋼の機械的特性の温度依存性評価
2.1 試料
市販の高張力鋼 厚さ2.9mm
*10mmx15mmに切断後、断面研磨(コロイダルシリカ仕上げ)
2.2 測定方法
装置 | Bruker社製TI980 |
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押込み荷重 | 10000μN |
測定温度 | 室温~550°C |
*加熱ステージは、上下に分割されたヒーターユニットで試料を 固定することで、均一な試料温度を実現します。また、Arガスを 導入し試料の酸化を極力防止します。

2.3 結果および所見

図2 高張力鋼の硬さとヤング率の温度依存性
図2に荷重-変位曲線と得られた押込み硬さ、ヤング率の温度依存性を示します。
鋼の高温強度は、ミクロ組織や添加されている合金元素などに影響を受けますが、一般に、200°Cを超えると温度の上昇とともに急速に低下します。図では、押込み硬さでその変化を示していますが、400°Cを超えると硬さが著しく低下することが分かります。
このように本装置を用いることで、機械的性質の温度依存性を評価することができます。
※加熱ステージに装着できる試料の寸法の制限、また試料によっては酸化防止が十分ではない場合等がありますので、詳細 は担当者にご相談ください