ポリカ―ボネート(PC)シートの粘弾性測定~高機能ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)の適用~

NGM-2202

1.概要

一般に、高分子材料やゴムなどの粘弾性特性は、レオロジー測定で評価されます。高機能ナノインデンター(ナノインデンt-ションシステム)では、従来のレオメーターでは測定できなかった高分子材料の被膜、複合材料のナノ領域における粘弾性測定を実施することができます。今回はこの特長を活かし、市販ポリカーボネートシートの粘弾性特性の測定事例を紹介いたします。

ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)に関する技術紹介はこちらから

2.事例;ナノインデンターを用いたポリカーボネートシートの粘弾性特性評価

2.1 試料

市販のポリカーボネート(PC)シート(厚み2mm)

市販のポリカーボネート(PC)シート(厚み2mm)

2.2 測定方法

装置 Bruker社製TI980
押込み荷重 1025μN(設定値)
周波数(f) 10Hz~105Hz
測定温度 室温~160°C
測定深さ 0.75μm(RT)~3.67μm(160°C)

*10mmx10mmに切断し、表面から測定

2.3 結果および所見

図1 粘弾性特性の温度依存性(f:105Hz)
図1 粘弾性特性の温度依存性(f:105Hz)
図2 損失弾性率の温度、周波数依存性
図2 損失弾性率の温度、周波数依存性

図1に測定された弾性率等の温度依存性を、図2に損失弾性率の周波数毎の温度依存性を示します。
図1:ガラス転移温度に近づくと、貯蔵弾性率の急激な低下が見られ、その比であるTanδも大きく変化します。
図2:ガラス転移のような緩和現象における周波数依存性について、本データが示すように損失弾性率のピークは高周波数ほど高温側で検出されます。

一般に、PCシートのようなポリマーでは、高分子鎖が複雑に絡み合い弾性と粘性が混在した挙動を示しますので、その両者をそれぞれ貯蔵弾性率、損失弾性率として評価する必要があります。
本装置では、通常のレオメーターでは測定できないような、薄膜や、表面や断面の微小領域における粘弾性挙動を測定することが可能です。

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