高速連続測定による硬さ分布測定~高機能ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)の適用~
NGM-2201
1.概要
材料の代表的な機械的性質である硬さは、ビッカース硬度計などで評価されます。ナノインデンテーションでは、マイクロニュートンスケールで圧子を押込み、ナノスケールでの硬さ測定を高速連続で自動測定できるために、材料の微細構造や異相境界の硬さ分布をマッピングで分かりやすく観察することができます。
今回は、窒化処理された軸受け鋼の硬さ分布の計測例を紹介いたします。
ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)に関する技術紹介はこちらから
2.事例;ナノインデンターを用いた窒化処理軸受け鋼の硬さ分布測定
2.1 試料
窒化処理された市販の軸受け鋼(SKD鋼)
2.2 測定方法
装置 | Bruker社製TI980 |
---|---|
押込み荷重 | 3000μN |
測定範囲 | 21μmx21μmの領域を1μm間隔で400点測定。それを6領域分繰り返して画像合成 *断面研磨後に窒化層と基材の境界部を評価 |
2.3 結果および所見

SKD鋼と窒化層との境界部における硬さ分布を示します。SKD鋼の硬さに対し、窒化層の硬さが明瞭に高いことが分かります。一方、窒化層内の硬さは、連続的に変化しているのではなく、部分的に極めて硬さの高い領域(赤色の領域)が存在していることが分かります。これは、SKD鋼に含まれるCrの窒化物の形成によるものと解釈できます。
このように、本装置ではナノレベル領域の硬さ分布が容易に得られ、材料の微細構造を観察しながら機械特性の評価も可能となります。