絶縁油の体積抵抗率・絶縁破壊電圧

KSE-1602

1.概要

体積抵抗率は絶縁油の絶縁抵抗を評価する指標で、250Vの電圧で通電した時の抵抗値から計算します。水分や油の酸化によって抵抗率が低下することから、絶縁油の劣化の指標となります。
一方、絶縁破壊電圧は数十kVの高圧電流での絶縁破壊(放電)に対する耐性を評価する指標で、やはり水分等により低下します。いずれも絶縁油の絶縁性を評価する指標ですが、相関性はあまりないといわれています。

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絶縁油体積抵抗測定装置(超高抵抗計)

測定法規格
JIS C2101‐24 電気絶縁油試験方法(体積抵抗率)

2.体積抵抗率

体積抵抗率はカップ型の特殊な電極に油を入れて250Vの電流を通電した時の抵抗値から測定します。体積抵抗率は絶縁油固有の値を示しますが、実際は油の劣化によって低下します。
JIS規格では80°Cにおける抵抗値を指標としますが、室温~120°C程度まで任意の温度での抵抗値を測定することができます。 絶縁油の体積抵抗率は一般に温度が高いほど低下する傾向があるので、機器の過熱による油温の上昇には注意が必要です。

絶縁破壊電圧測定装置(電極部)

測定法規格
JIS C2101‐22 電気絶縁油試験方法(絶縁破壊電圧)

3.絶縁破壊抵抗

絶縁破壊抵抗は写真のような絶縁油に浸した電極(JIS規格では12.5mm球状電極でギャップ2.5mm)で、放電が起こる電圧を測定します。未使用の絶縁油では通常80kV程度の値を示します。
絶縁破壊が起きている状態は放電状態であるため、絶縁油の正味の抵抗値とは異なることから、体積抵抗値が正常でも絶縁破壊電圧が低下するということも起こりえます。

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