絶縁油中のガス分析

KSE-1601

1.概要

変圧器等の内部で異常過熱や絶縁劣化が発生すると、絶縁油や絶縁紙が分解して生成したガスが絶縁油から検出されます。変圧器の異常部位やその程度の違いにより発生するガスの種類が異なり、特有のガス発生パターンを示すため、ガス分析によって変圧器内部のさまざまな情報を得ることができます。
このため、定期的な絶縁油のガス分析により変圧器の状態を把握し、早期に異常に対処するなど維持管理に役立てることができます。

絶縁油の劣化診断・PCB分析に関する技術紹介はこちらから

*油中ガス分析装置

絶縁油から抽出されたガスは、2台/4検出器から成る専用のガスクロマトグラフ装置で同時に検出される。 (右図は分析例)

油中ガス分析装置

*FID(水素炎イオン化検出器):メタンなど有機ガスを検出
*TCD(熱伝導度検出器):窒素など無機ガスを検出
*PID(光イオン化検出器):高感度で一酸化炭素を検出

*主な発生ガスの特徴

メタン、エタン 比較的低温(300°C以下)で運転されている場合に発生が多く、経年劣化でも発生
エチレン、プロピレン 装置の高温過熱(700°C以上)または放電によって発生が増大
アセチレン 放電が起こっていることの指標となり、わずかな発生でも要注意
水素 放電が起こっている場合や過熱により発生
一酸化炭素、二酸化炭素 鉄心や巻き線部などで絶縁紙が過熱されると発生しやすい

*主要可燃性ガス発生パターンの例(最も発生量の多いガスを1とした場合の比率をグラフに表したもの)

主要可燃性ガス発生パターンの例

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