内挿コイルによる渦流探傷検査(内挿ET)

KK-0160

1.概要

渦流探傷試験(ET)は、試験体表面あるいは表層近くに存在するきずを検出する場合に適用されます。
材質が導電性材料であればすべてに適用可能です。形状が単純な管や棒の製品検査へ適用されていますが、熱交換器用伝熱管、機械部品等の保守検査にも使用されています。
特に内挿コイルを用いたET検査は石油・化学プラント、発電所等に多く設置された熱交換器の保守検査において、伝熱管の減肉状況を把握するために必要不可欠の検査となっています。

2.原理

金属等の導体に、交流を流したコイルを接近させると、電磁誘導により渦電流が発生します。割れなどのきずがあると渦電流分布が変化し、コイルに誘起される電圧が変化します。この変化を検出して探傷します。

同一のコイルを2つ並べたプローブを用いて探傷すると、きず深さに応じた信号が検出されます。内挿ETでは、人工きずを用いた減肉率の推定曲線を作成することにより、検出信号の位相角から管外面および管内面の弁別および深さ(肉厚に対する減肉率)の推定が可能となります。

図1 渦流探傷検出信号及び減肉率推定曲線の例
図1 渦流探傷検出信号及び減肉率推定曲線の例

3.主な仕様

<測定原理>

放射線が物体を透過する際の吸収量は、物体の厚さと密度により決まります。右図のように配管を挟んで線源と検出器を上下(または左右)に移動させながら透過線量をパソコンに取り込み、データ処理して内部閉塞状況をパソコン画面に表示します。

(1)渦流探傷装置

1.励磁方式:3重周波数型電磁誘導法 自己誘導自己比較型/標準比較型(いずれかを選択)。3チャンネルのコイルを独立して単周波数で使用可能
2.試験周波数範囲:500Hz~2MHz
3.ブリッジバランス:電子式オートバランス、追従式バランス
4.増幅度設定:0dB~50dB(0.1dBステップ)
5.位相設定:0deg~360deg(0.5degステップ)
6.ローパスフィルター:4段階切り替え、1kHz、250Hz、30Hz、その他(10Hzステップで3チャンネル個別に設定可能)-24dB/Oct
7.動作環境 温度: 10°C~40°C、湿度:10%~85%(結露なきこと) 入力電源:AC100V±10%、50/60Hz、30VA

(2)自動巻取り機

1.ケーブル排出速度:0.5~3m/s
2.ケーブル巻取り速度:0.5~1.5m/s

(3)被検査材

黄銅管、ステンレス鋼管、チタン管等

図2 熱交換器用伝熱管の内挿ET
図2 熱交換器用伝熱管の内挿ET

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