コンクリートコアの元素分布分析(EPMA)

KK-0047

1.概要

鉄筋コンクリートは強いアルカリ性ですが、時が経つにつれ空気中の炭酸ガスにより中性化が進行します。中性化に伴い塩分が内部方向に向かって濃縮され、鉄筋が腐食されやすくなります。
弊社は、コンクリートコア内の各元素分布(Al,Ca,Cl,K,Na,O,Si)をEPMA分析装置で分析し、マッピングすることにより、コンクリート構造物の健全性・寿命を診断しています。

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EPMA分析(Electron Probe MicroAnalysis)

EPMA分析

2.分析結果所見一例

(1)長石類,石英,石灰石等からなる骨材を配合し、表層部は13mm程度の中性化領域のあるコンクリートと判断されます。
(2)最表層と中性化領域のコンクリート内部側先端部の2箇所に塩素(Cl)の濃化層が観察されます。
(3)最表層近傍のCl濃化層は、中性化した外表層に塩分を含んだ雨水或いは海水の飛沫の付着で3次元的に形成されたClの濃化層と判断されます。
(4)中性化領域の内側先端部に形成された濃化層は、炭酸化によりフリーデル氏塩が、分解・遊離したClが拡散して形成されたものと推察されます。
(5)アルカリ骨材反応を示す組織は観察されず、アルカリ骨材反応を惹起する骨材はないと判断されます。

[中性化]

コンクリートは水酸化カルシウムのために強アルカリ性になっています(pH12~13)。
時間の経過と共に空気中の炭酸ガスを吸収してゆくために、表面から内部方向に向かってアルカリ性が徐々に失われていきます。

Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O

[フリーデル氏塩]

コンクリート中に二酸化炭素が侵入すると、セメント硬化体組織に存在するカルシウム化合物を含む複塩が、二酸化炭素と反応して分解します。

3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O+3CO2→3CaCO3+2Al2O3+CaCl2+7H2O

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