ボルトの疲労割れ、遅れ割れ検査
KK-0017
1.概要
構造物に使用されているボルトのネジ部に割れや腐食が発生し、破断に至る場合があります。割れや腐食を検出するために、通常は図1に示す超音波探傷法が使用されています。この方法によると、超音波のビームがボルト全体に照射されることになるので、割れからの反射の他にネジ部からも反射されるためSN比が悪く、2mm以上の割れでないと検出できませんでした。
当社ではボルトの割れや腐食の検出性能を改善するため「偏芯集束型探触子」を開発し、1mm以下の割れの検出が可能です。
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2.「偏芯集束型探触子」による検出法
探傷方法を図2に示します。偏芯集束型探触子は、球面型の振動子とレンズ(アクリル樹脂)を組み合わせています。超音波ビームは適切な焦点範囲で集束し、かつビームはわずかに傾けています。
ボルトの一端から偏芯集束型探触子で探傷すると、ビームがきず部周辺にのみ照射され、他のネジ部にはほとんど超音波ビームが当たりません。
このためSN比が向上し、0.5mmの割れが検出できます。

3.特徴
- ・割れや腐食など微小きずの検出が可能です。
・通常では検出困難な深さ1mm以下の割れでも検出できます。
・割れや腐食が発生するネジ部及び首下部を、効率的に検査できます。
・現場での検査が可能です。
・超音波探傷器は、一般の汎用型を使用できます。
・検査法が簡便ですので、現場で全数検査が可能です。

4.試験の適用範囲
ボルトサイズ | M16~M24 |
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探傷面 | ネジ先端(ナット側) |
探傷面粗さ | グラインダー仕上げ |
不感帯 | ネジ先端から20mm以内 |
5.試験の適用例
大型橋梁 | 高速道路橋、国道橋、鉄道橋 |
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構造物 | プラント架台、フェンス基礎、建築構造物 |
歩道橋 | 国道、市中の歩道橋 |
その他 | アンカーボルト、ボルト継手一般 |