TOFD法によるき裂深さの精密測定法
KK-0007
1.穿孔法とは
構造物の安全性確保のためにはき裂・割れの深さを正確に把握することが重要です。き裂深さは通常の超音波法では測定が困難ですが、超音波TOFD法で正確に測定することができます。
TOFD : Time of Flight Diffraction Technique
TOFD法では超音波送信用探触子と受信用探触子とを一定距離を隔てて対向させます。送信用探触子から全厚さ方向に超音波を入射すると、図1左に示すように表面を伝搬した超音波(ラテラル波)と裏面に当って反射された超音波とが受信されます。もし、試験体内部にき裂があると、き裂上下端部での回折波も受信されます。き裂上端からの回折波と下端からの回折波では伝搬距離(時間)が異なりますので、伝播時間の差からき裂の板厚方向の寸法(き裂深さ)および位置を測定できます(±1~2mm程度の精度)。
送受信探触子の間隔を一定にしたまま、溶接線に沿って平行走査(D走査)をし、受信波の強度を連続的に図形表示させた結果を図1右に示します。探傷結果は自動的に画像表示されますので、きずの上端部、及び下端部エコーを容易に識別できます。
製鉄設備、発電設備、圧力容器やパイプラインなどの溶接部のき裂深さを測定できます。供用中設備の内面側に生じるSCC(応力腐食割れ)や局部腐食等、欠陥深さの検査に適しています。

