ダブルショット法による高分子および添加剤の同定

HRM-1620

1.概要

熱分解(Py)-GC/MSの瞬間熱分解法(シングルショット法)は高分子材料の同定において有効な分析法です。しかし、添加剤(揮発性成分)を含んでいる高分子材料の場合、添加剤と高分子材料の熱分解物の混合クロマトグラムとなり、非常に複雑なクロマトグラムとなります。
そこで、添加剤(揮発性成分)をあらかじめ熱抽出し(100°C~300°C程度)、その後高分子材料を熱分解(600°C程度)する、2段階(熱抽出法-熱分解法)のダブルショット法が非常に有効となります。

本コンテンツで用いたガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)についてはこちらから

2.測定事例;添加剤含有高分子材料の同定~シングルショット法とダブルショット法の違い~

1.シングルショット法;600°Cで熱分解

測定方法;600°C程度で熱分解し、GC/MSに導入して分析
測定結果;シングルショット法で得られたクロマトグラムは、添加剤と高分子の熱分解物が両方含まれる複雑なクロマトグラムを示したため、同定困難。

シングルショット法

2.ダブルショット法;1段階目は100~300°C、2段階目は600°Cで熱分解

測定方法;1段階目で 100°C~300°Cで熱抽出し、GC/MSに導入して分析。2段階目でさらに同じ試料を約600°Cで熱分解し、GC/MSに導入して分析。
測定結果;1段階目では熱抽出GC/MSによりセバシン酸ジオクチルおよびジオクチルジフェニルアミンが観察された。2段階目の熱分解GC/MSではクロロブタジエンのモノマーおよびダイマーが観察された。
     この結果から、試料はクロロプレンゴムであり、添加剤としてジオクチルジフェニルアミン(酸化防止剤)、セバシン酸ジオクチル(可塑剤)が含まれると考えられた。

ダブルショット法 100°C~300°Cで熱抽出し、GC/MSに導入して分析

3.結果

ダブルショット法によるGC/MSでは、添加剤と高分子のクロマトグラムを分けられたことから、物質同定の精度が高められました。

※Py-GC/MSの紹介もご参照ください。 HRM-1618熱分解(Py)-GC/MS装置紹介Py-GC/MSの紹介

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