X線回折法による相組成分析
HRM-1617
1.X線回折法 (XRD)とは
X線回折法(XRD)を用いた相組成分析は、結晶成分の評価において極めて重要な手法です.
X線回折法(XRD)とは、結晶性試料における結晶相の同定/定性分析を主な目的として広く用いられる非破壊分析手法です。試料のXRD測定より得られた回折パターンとデータベースのパターンを照合することにより、単成分や多成分系結晶成分の相同定/定性分析、定量分析、結晶構造解析を行うことが可能であり、XRDによる相組成分析といいます。結晶成分の評価、解析を行う上で、元素の定性分析、定量分析に加え相組成分析を行うことは極めて重要な意味を持ちます。
試料量や試料形状に合わせ、様々な試料ホルダを用意しています。ぜひご相談ください.
2.XRDを用いた相組成分析の特徴
特徴1;構成元素が同じ化合物でも、形態の違いを見分けられる。

特徴2;同一組成の結晶構造が異なる結晶多形の分析が可能

3.分析事例 ;灰の成分および相組成解析

成分が未知である灰の相組成分析事例を紹介します。
まず、未知成分試料の場合は元素情報が必要となります。(2 1参照)。XRD回折パターンは結晶構造を反映しているデータであり、元素が異なる物質でも結晶構造が似ていると回折パターンが類似し正確な同定ができません。従ってEDX等による元素分析と組み合わせて行います。
1 EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析)による元素分析

2 XRDによる相組成分析

1EDXの元素分析結果をもとに、XRD回折パターンをライブラリデータと照合すると、灰の主成分はNaCI(塩化ナトリウム)であり、その他にCaCO3(炭酸カルシウム)、MgO(酸化マグネシウム)、MgHPO43H2O(リン酸一水素マグネシウム三水和物)が含まれていることがわかりました。