熱機械分析装置( TMA )の紹介

HRM-1606

1.熱機械分析とは

熱機械分析装置(TMA:thermomechanical analyzer)は、試料温度をプログラムに従って変化させていき、その過程で試料に一定の圧力を加えながら試料寸法の変化を測定する装置の事をいいます。線膨張率(一方向の長さの変化率)、ガラス転移温度、軟化温度などの熱物性値を測定することが可能です。

熱機械分析法(TMA)についての技術紹介はこちらから

2.熱機械分析(TMA)の原理

荷重発生部からプローブを介して試料に一定荷重を与えながら、加熱炉で試料温度を変化させます。温度変化に対応して試料に熱膨張や軟化等の変形が起こると、それに伴う変位量がプローブの位置変化量として変位検出部で計測され、TMA信号として出力されます。

原理図

3.得られる情報

測定結果

測定結果は、横軸が温度(°C)、縦軸は測定開始からの変化量(μm)で表示されます。

圧縮膨張測定では、温度に対する伸びの比率から膨張率(線膨張係数)が得られます。また、膨張率の変化からガラス転移温度を測定することが可能です。

針入測定により、試料の軟化による軟化点(軟化温度)を測定することが可能です。また、針入量を用いて塗膜の厚さを計測することも可能です。

4.測定事例

5.装置仕様

  低温用TMA 高温用TMA
装置外観 低温用TMA 高温用TMA
(1)装置名 日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS6100 ブルカーエイエックスエス社製 TD5000SA
(2)測定方式 縦型全膨張式 水平型差動方式
(3)測定項目 熱膨張量(収縮量)・線膨張係数・ガラス転移点・軟化点・曲げ変形量 等(低温用のみ) 熱膨張量(収縮量)・線膨張係数・ガラス転移点等
(4)測定モード 4種(圧縮・膨張、針入、引張、曲げ) 1種(圧縮・膨張のみ)
(5)温度範囲 -130°C~600°C(解析-100°C~) 室温~1300°C(解析50°C~、減圧下測定Max1000°C)
(6)昇温速度 0.01°C~100°C/min(通常は5°C/min) 1°C/Hr~20°C/min(通常は5°C/min)
(7)測定レンジ 変位:±5000μm(感度は0.02μm) 変位:±0.5μm~2500μm
(8)雰囲気 窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、エアー雰囲気
(その他ガスに関しては要相談)
窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、エアー雰囲気、減圧下
(その他ガスに関しては要相談)
(9)試料形状※ Max10mm×20mm長(膨張圧縮モード)
Max4mm幅×20mm長×1mm厚程度(引っ張りモード)
引張モードでは、試料を治具に固定するため、50mm長以上が望ましい
Max6mm(角又は)×10~20mm長
※大型支持管を使用の場合は45~55mm長も可能
円柱状が望ましいが、角柱状でも可能。その際、側面の凹凸が無い事が理想的
(10)荷重制御 一定(荷重:±150gf(=1471mN))
定速(0.1mN~107mN/min)、周期(0.001Hz~1Hz)
組立(最大10ステップ)
一定(荷重:1gf~100gf(9.8mN~980mN))
(11)特長 ・変位制御や荷重制御設定により、熱収縮応力の測定や熱硬化反応の測定も可能
・4種類のプローブを使い分け、さまざまな測定に対応
・横型炉により、試料の温度分布を最小限に抑え均一加熱できるため、低膨張材料も高精度で測定

・常にアルミナ製標準試料を同時測定する為、支持管や検出棒の伸びによる誤差が相殺され、微小な熱膨張変化でも高精度に測定

※試料の加工等、お気軽にご相談下さい

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