熱重量・示差熱同時測定(TG-DTA)の紹介
HRM-1605
1.熱重量・示差熱同時測定(TG-DTA)とは
TG-DTAとは、試料及び基準物質の温度をプログラムに従って変化させながら、試料の重量変化測定(TG)及び試料と基準物質の温度差を測定する示差熱測定(DTA)を同時に行う手法です。
試料の水分量、灰分量測定や分解、酸化、耐熱性などの物性評価が可能です。さらに反応速度試験(活性化エネルギー算出)や促進劣化試験(劣化前後の熱物性比較)にも応用可能です。
示差熱・熱重量同時分析(TG-DTA)に関する技術紹介はこちらから
2.原理
1. TG:Thermogravimetry(熱量測定)
重量変化が起こると、メインビームが傾きます。その動きを元に戻すようにコイルに流す電流を制御します。流した電流は重量変化に対応しているので、電流の変動を重量変化として出力します。
2. DTA:Differential Thermal Analysis(示差熱分析)
試料ホルダーに設けられた熱電対により、試料基準物質※1の測温を行います。検出された温度差をDTA信号として出力副支点部します。
※1 基準物質測定温度域に吸発熱のない物質(空容器やα-アルミナ)

TG曲線

また、分解温度や酸化温度の評価が可能です。
DTA曲線

またTG曲線と合わせて、試料の変化(現象)を詳しく解析することが可能です。
図2.TG曲線とDTA曲線
3.測定の特長
- 縦型の差動型示差熱天秤により低ドリフト※2、高感度かつ低温・高温でも安定した測定 ※2 ドリフト温度上昇によるTG-DTA信号の変動
- 真空置換によるガス置換(残存酸素の影響が少ない測定が可能)
- 減圧下での測定(上限温度1000°C)
- 水蒸気発生ユニットにより水蒸気導入下※3での測定(上限温度1000°C) ※3 相対湿度とは異なります(M-1306水蒸気導入TG-DTA測定参照)

4.装置仕様
(1)装置名 | ブルカー・エイエックス(株)製 TG-DTA2000SA |
(2)天秤方式 | 上皿式差動型示差熱天秤 |
(3)測定項目 | 熱分解、燃焼分解、酸化、脱水 等 |
(4)温度範囲 | 室温~1300°C(水蒸気導入測定、減圧測定は1000°Cまで) |
(5)昇温速度 | 通常10°C/min(1°C/hr~30°C/min 設定可能) (水蒸気導入測定、減圧測定は最大20°C/min) |
(6)測定レンジ | TG ±0.1~200mg DTA ±1.5~1000μ V |
(7)試料形状 | 窒素、アルゴン、疑似エアー、水蒸気制御(窒素・空気)、減圧下 |
(8)使用容器(図3) | アルミニウム製(上限温度500°C)、アルミナ製、白金製 |
(9)試料形状 | 容器(内径約5mmΦ)に入る大きさに試料調製(※4) |
(10)試料量 | 通常10~20mg程度(上限は、容器重量込で1g) |
※試料の加工等、お気軽にご相談下さい
5.測定事例
TG-DTAによるゴムの劣化度評価
TG-DTAによるゴムの組成調査
TG-DTAによる活性化エネルギー算出
水蒸気導入TG-DTA測定