X線回折法による結晶子サイズの測定(Scherrer法)
HRM-0404
hozoso1.概要
物質にX線を照射すると、物質を構成する結晶により回折現象がおこります。回折図形は結晶構造ごとに異なるため、それを利用し分析を行うのがX線回折(XRD)法です。
結晶子とは、単結晶とみなせる最大の集まりをいい、一個の粒は複数の結晶子によって構成されています。(図1)結晶子サイズが小さくなるということは、結晶子の数が増え、結晶子一つ当たりの回折格子の数は少なくなり、回折線は広がります。
X線回折法ではピークの幅を評価して結晶子サイズを算出することができます。
結晶子サイズ測定可能範囲:数nm~100nm程度

2.分析装置
X線回折装置 | SmartLab (RIGAKU製) |
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管球 | Cu、Co |
対象サンプル | 粉末試料、板状試料 |
標準試料 | 被検試料と同一組成のものが好ましい 結晶子の大きさが十分に大きく、 格子歪みが無視できる試料 |

3.結晶子サイズの算出
X線回折法による結晶子サイズの算出は、 被検試料と標準試料を測定し、 そのピーク幅の差からScherrer の式を用いて算出します。

D | 結晶子サイズ ( 結晶子径) |
K | Scherrer 定数 |
λ | 使用X線の波長 |
β | 結晶子の回折X線の広がり<半値幅> |
B被検 | 被検試料の回折X線の広がり |
B標準 | 標準試料の回折X線の広がり |
θ | ブラッグ角 (回折角2θの半分) |
4.関連JIS規格
- JIS H 7805 X線回折法による金属触媒の結晶子径測定方法
- JIS R 7651 炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法