高周波GDSを用いた色調の異なるTi-N-C皮膜の深さ方向分析
FTM-2102
1.概要
グロー放電発光分光分析 (GDSまたはGD-OES)*では、複数元素の深さ方向分布(プロファイル)が迅速に得られます。この特長を活かし、各種Ti-N-C皮膜の色調差発現の要因について、元素濃度および厚みを分析し、比較調査した事例をご紹介します。
* GDSまたはGD-OES : Glow Discharge Optical Emission Spectrometryの略。グロー放電発光分析 (GD-OES)の技術紹介はこちらから
2.調査試料
色調の異なるTi-N-C皮膜 4種 [ 1.青紫色 2.赤紫色 3.オレンジ色 4.黄色 ]
※120mm×□120mm×2mm厚のFe板上に成膜
3.分析方法
装置 | GD-Profiler 2 (堀場製作所製) |
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測定範囲 | 直径4mm |
測定元素 | Ti(チタン)、N(窒素)、C(炭素)、Fe(鉄)の4元素同時測定 |
データ解析 | 検量線を作成し、各元素の発光強度を濃度に、測定時間を深さに換算 |
4.色調の異なるTi-N-C皮膜の深さ方向分析結果
プロファイルを見ると表面からTi、NおよびCが検出されており、深い領域では基材のFeが検出されています。
1青紫色と2赤紫色を比較すると、皮膜中のTi、NおよびCの元素濃度比が類似し、厚みが異なっているため、色調の違いは皮膜厚みの違いによるものであると推察されます。一方、3オレンジ色と4黄色を比較すると、皮膜厚みは同程度で、皮膜中の元素濃度比が異なっているため、色調の違いは元素濃度比の違いによるものであると推察されます。
このように、色調差発現にはいくつかの要因が考えられ、GDSを用いた分析で、それらを明らかにすることが可能となります。4.色調の異なるTi-N-C皮膜の深さ方向分析結果
