透過電子顕微鏡(TEM)による微細析出物の分析
FTM-1620
概要
透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy, TEM)は試料に電子を照射、試料を透過した電子を検出して、観察と分析を行う手法です。数nm~1μm程度の微小物の観察や原子配列の直接観察まで、目的に応じて数万倍~100万倍程度まで倍率を設定して観察することができます。
形状の観察に加えて、回折、散乱、励起等の現象を利用して、結晶構造や含有元素の種類の決定、析出、偏析の定量のほか、転位等の欠陥に関する情報が得られます。
TEMを用いた析出物調査の特徴
(1)最大倍率120万倍で、微小領域の観察と最小Φ1nmのSPOT分析が可能です。
(2)分解能0.1nmで、結晶の格子像を観察できます。
(3)特性X線(EDS)の測定と電子エネルギー損失スペクトル(EELS)の測定により、元素の識別と定量が可能です。
(4)電子回折パターンの解析により、結晶構造を明らかにし、数nmの析出物でも同定可能です。
(5)弊社では、独自に開発した電子回折パターンの自動解析ソフトを用いて、観察しているその場で瞬時に結晶構造を解析可能です。
測定事例;極微細析出物のTEM-EDS、EELS分析
鋼中の微細析出物を抽出レプリカ法で採取し、TEMで分析した例です。
析出物がBN(Hexa)、TiN(Cubic)であることは、EDS分析やEELSおよび電子回折により決定しています。
