オージェ電子分光法(AES)による析出物の分析
FTM-1601
概要
加速した電子を分析試料に照射し、1~2nm程度の表面層から放出される元素固有のエネルギーを持つオージェ電子を検出することで、試料の表面に存在する元素の種類と量に関する情報を得る分析法です。
数十nm程度の微小領域の元素分析、元素の面内分布、深さ方向分布が分析でき、試料表面の組成、微小析出物の成分、表面および界面における偏析元素、被膜を有する試料では被膜と基材のそれぞれの成分、被膜と基材の界面における元素分布、拡散状態、析出相などの分析に有効です。
装置仕様
- 3nm以下の分解能で、微小領域の形状を観察できます。
8nm以下の分解能で、元素の面分布を観察できます。
Arイオンで試料の表面を除去しつつ、元素の深さ方向の分布を測定できます。
真空容器の中で試料を液体窒素で冷却し、衝撃を加えて破断し、破断面を直接分析できます。 -
測定例;ステンレス鋼の粒界析出物
- Crは粒界で炭化物として析出し、その近傍ではCrが欠乏していることが分かります。このような析出物の形成は、粒界腐食の原因となる可能性があります。
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(a)ステンレス鋼の粒界近傍のSEM像
(b)AES元素マッピングによるCrの分布
(c)AES元素マッピングによるCの分布
(d)AES元素マッピングによるFeの分布マルチプル型クリープ試験機