各種材料の密度測定
AMM-2103
1.概要
密度とは、試料固体の単位体積当たりの質量のことであり、体積の定義に応じて各種の密度(真密度、見掛け密度、かさ密度など)が定義され、その評価は様々な手法が用いられます。また各密度を用いて気孔率を求めることができます。本レポートでは、密度測定に関し、定義、測定方法を解説します。
密度の定義・模式図

密度測定方法
測定法 | 幾何学的測定法 | 水中懸架法 | 気体置換法 | |
---|---|---|---|---|
密度 | かさ密度 | 見かけ密度、かさ密度 | 見かけ密度 | |
測定原理 | ![]() |
![]() |
![]() |
|
測定対象 | 状態 | 固体 | 固体、液体 | 固体、粉体、多孔質体 等 |
寸法 | 直方体、円筒形 | 不定形 (約10mm×10mm×10mm ~約50mm×50mm×20mm程度) |
不定形 (φ15.9mm×深さ24.6mm以内) |
|
雰囲気 | 大気中 | 大気中、水中 | He | |
JIS規格 | JIS Z 8807 | JIS Z 8807、JIS R 2205、 JIS Z 2501、JIS R 1634 |
JIS Z 8807、JIS R1620 |
2.装置仕様
水中懸架法
試料を液体中に懸垂し、試料に作用する浮力を測定することによって試料の密度及び比重※を求める方法です。
不定形や大型の試料でも測定が可能です。
※比重:試料の密度と水の密度の比

気体置換法
気体に関するボイルの法則を利用して見掛け密度を測定する方法です。測定に使用する気体はHeであり,1Å(10-10m)に近い割れ目や気孔へ浸透できる特長があります。

3.密度関連のJIS規格
規格番号 | 規格名称 | 幾何学的 測定法 |
水中懸架法 | 気体 置換法 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
かさ 密度 |
かさ 密度 |
見掛け 密度 |
開気 孔率 |
見掛け 密度 |
||
JIS Z 8807 | 固体の密度及び比重の測定方法 | ○ | × | ○ | × | ○ |
JIS Z 2501 | 焼結金属材料-密度、含油率及び開放気孔率試験方法 | × | ○ | ×※1 | ○ | × |
JIS R 1620 | ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法 | × | × | × | × | ○ |
JIS R 1634 | ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法 | × | ○ | ○ | ○ | × |
JIS R 2205 | 耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法 | × | ○※2 | ○※2 | ○※2 | × |
※1:見掛け密度の記載はありませんが、含浸の手法を参考とし、見掛け密度を求めることは可能です。
※2:比重を求める式となります。比重から密度への換算は可能です。
4.測定事例;アルミニウムの見掛け密度測定
<試料>
材質:アルミニウム 状態:固体 形状:直方体
<測定結果>
- 試験片体積が約1cm3以上⇒文献値との差は±0.5%程度。
- 試験片体積が約0.7cm3未満⇒文献値との差は±7%程度。
- 試験片の体積が大きいほど測定精度が上がります(目安:約1cm3)。
- 試験片の体積が小さいと測定精度が下がりますが,それでも±数%程度の誤差で測定が可能です。

5.気孔率の測定
各密度から、下記の計算により、開気孔率、閉気孔率、全気孔率が求められます。
開気孔率=(見掛け密度-かさ密度)/見掛け密度×100(%) |
閉気孔率=全気孔率-開気孔率 |
全気孔率=(真密度-かさ密度)/真密度×100(%) |